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STRAVINSKY/Le Sacre du Printemps, REVUELTAS/La noche de los mayas
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Gustavo Dudamel/
Simón Bolívar Youth Orchestra of Venezuela
DG/00289 477 8775




この前、LAが舞台の「ヴァレンタイン・デー」という映画を見ていたら、いきなり「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」が画面に登場したので、びっくりしたことがありました。もちろん、実際にLAなんかに行ったことはありませんし、ましてや、その豊田さんが音響設計を担当した素晴らしいホールに入ったことなんかもあるわけはないのですが、知り合いから話を聞いたりサイトを覗いたりしているうちに建物の外観自体はなじみ深くなっていたものですから、スクリーンに出てきたとたんにそれはすぐわかりました。なんたって、あの奇想天外な、それこそディズニーランドにあってもおかしくないような派手なメタリックの外装ですからね。デブじゃないですよ(それは「メタボリック」)。
その画面には、ホールだけではなく、さらになじみのあるものも映し出されていました。それは、ホールの外壁に沿って掲示されていた巨大なタペストリーに描かれた、そのホールをフランチャイズとするオーケストラの音楽監督、グスタヴォ・ドゥダメルの姿だったのです。この映画はかなりヒットしたものですから、世界中の多くの人、もちろんクラシック音楽なんか全く興味のない人でも、ここでドゥダメルのカーリー・ヘアが無意識のうちに脳内に焼きつけられることになりますよね。アメリカのメジャー・オケのシェフになるというのはこういうことなんだな、と、不思議な感動がよぎったものでした。
そんな、まさにハリウッド的なノリで世界的な大指揮者になってしまったドゥダメルは、しかし、彼のキャリアのルーツであるヴェネズエラのユース・オーケストラを忘れることはありません。今年の2月にカラカスで行われたコンサートのライブ録音も、こんな風にすぐCDになって世界中でリリースされるのですからね。
この前のFIESTAに続いて、今回は「RITE」というワン・ワード・タイトル、もちろん「Le Sacre du Printemps」の英訳の「The Rite of Spring」の中に使われている単語ですね。
しかし、ここの「春の祭典」での若い人たちのオーケストラは、なぜか「祭典」という弾けた感じではなく、どちらかというとその単語の元の意味である「儀式」のような厳粛なアプローチに終始しているように感じられます。いや、確かにバスドラムなどはばかでかい音を出してインパクトを与えようとしてはいるのですが、例えば変拍子の嵐でわき起こるはずの高揚感が、このオケ全体からはほとんど与えられないのですよ。ストラヴィンスキーのリズムには、このような力任せの演奏からはちょっと引いた、ある意味醒めた感覚がないことには、なかなか人を揺り動かすところまではいかないという難しさが潜んでいるのかもしれませんね。
一方、「FIESTA」でも「センセマヤ」という曲が演奏されていたメキシコの作曲家シルベストル・ラブエルタスの「マヤの夜」という作品は、そもそもは映画音楽として作曲されたもので、特に4つの楽章のうちの最初のものなどは、いかにもスペクタクルなテイストが満載の聴きやすい曲です。さらに、何でもこの作曲家は「ラテン・アメリカのストラヴィンスキー」と呼ばれているそうで、「春の祭典」時代のストラヴィンスキーの様式に大きな影響を受けている部分が確かに感じられます。しかし、彼の場合のリズムの処理は、ストラヴィンスキーよりももっと「自然」というか、南米の人にとってはおそらく直感的に「ノレる」タイプのものなのではないでしょうか。そのあたりが、この演奏では「春の祭典」での素っ気なさとは打って変った、共感に満ちた「ノリ」を示している所以なのでしょう。
とくに最後の楽章でのパーカッション奏者たちの「やる気」は聴きもの。まさに「頭」よりは「体」を使った演奏は、彼らにしか出来ない爆発力を生んでいます。

CD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2010-05-30 21:25 | オーケストラ | Comments(0)