おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
GAUBERT/Le Chevalier et la Damoiselle
c0039487_23552569.jpg



Marc Soustrot/
Orchestre Philharmonique du Luxembourg
TIMPANI/1C1175




スーストロとルクセンブルク・フィルのコンビによるフィリップ・ゴーベールの珍しい作品の録音の第2弾です(ちなみに、吸うのはストローではなく、飲み物の方なのですが)。前作で、この作曲家の魅力に触れた人の期待を、これも決して裏切ることはないはずです。
今回もやはり「世界初録音」となったのは、2幕から成るバレエ曲「騎士と姫君」です。作曲家が亡くなった年、1941年に作られ、当時は大好評を博したそうですが、現在では完璧に忘れ去られています。一度聞いただけで好きになれるような親しみやすさが満載の曲ですが、それからほんの少し先の時代というのはそんな「ポップ」なスタイルは認められない、もっと「アヴァン・ギャルド」なものが求められていたのでしょうね。こんな軟弱なものは、世の中の趨勢からははじき出されてしまったのでしょう。
そんな時代の流れを通り過ぎて、音楽に対する嗜好が「親しみやすいもの」に変わったとき、この曲もその魅力が再度認められることになりました。ここから聞こえてくるものは、なにか懐かしいテイストに彩られたもの、よく聴いてみると、それはラヴェルの「マ・メール・ロワ」とか、レスピーギの「古風な舞曲」とよく似た肌触りを持ったものでした。もしかしたら、ディーリアスあたりのさわやかさも含まれているのかもしれませんね。
それよりも、現代の私たちの耳には、これはゲーム音楽のようには感じられないでしょうか。特にそのほうに詳しいほどの実績と体験が伴っていない中であえて感想を語るとすれば、すぎやまこういちの一連の「ドラゴン・クエスト」の音楽が持つ、ポップでありながら重厚、そして何か中世的な雰囲気もたたえている、そんな気がしてしまいます。
オープニングの「前奏曲」は、なんと「5拍子」で始まります。もちろん、それはいかにも変拍子という不自然さではなく、ちょっと小粋なダンス、といった面持ちで登場してきます。このテーマはその後も何度も現れますが、そのたびに新鮮な印象を与えてくれます。そして、後半になるとガラリと趣を変えて「古風」な、それこそルネッサンスとか、「ドラクエ」の中世っぽいたたずまいの音楽に変わります。
曲の中にフィーチャーされている華麗なヴァイオリン・ソロも、なにか古典的なバレエ音楽のエッセンスのようなものを感じさせるものです。チャイコフスキーの「白鳥の湖」に出てくるような、あのあでやかなヴァイオリンですね。終わり近くにはヴィオラの名人芸までも登場しますよ。さらに、うれしいのが、ゴーベールの代名詞ともいうべきフルートの大活躍ぶりです。オーケストレーションの中では、この楽器は常に音楽全体にやわらかな音色を提供してくれていますし、第2幕の「王女の孤独」という曲は、まるまるフルートのソロとなっていますよ。
そうなってくると、オーケストラのソリストたちの資質が問われることになりますが、ルクセンブルク・フィルのメンバーたちは名人ぞろい、そのフルート奏者も、たっぷりとした歌心で、聴き手を魅了します。もしかしたら、それは甘ったるくなる一歩手前でギリギリ踏みとどまっているものなのかもしれません。弦楽器のソフトな音色も、これがクセナキスを日常的なレパートリーにしているオーケストラとは思えないほどです。
そんな甘い音楽と甘い音色に酔いしれていると、セッション録音のはずなのに、なにか時折ノイズが聞こえてくるのに気付きました。気をつけて聴いてみると、それはどうやらCDのトラブルのようですね。時には音飛びなども起こしています。いまどきの製品には珍しい不良品にたまたまあたっただけなのか、そもそもマスターに原因があるのかは、もはや返品期限をとっくに過ぎているので確かめようもありません。届いてすぐ聴かずに、1ヶ月以上も未開封でほったらかしておいた報いでしょうか。

CD Artwork © OPL/Timpani
[PR]
by jurassic_oyaji | 2010-06-01 23:56 | オーケストラ | Comments(0)