おやぢの部屋2
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HAMERIK/Requiem
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Randi Stene(MS)
Thomas Dausgaard/
Danish National Symphony Orchestra and Choir
DACAPO/6.200002(hybrid SACD)




アスガー・ハメリクというデンマークの作曲家の交響曲と「レクイエム」が入った4枚組のBOXが出ました。1843年に生まれて1923年に亡くなったというこの作曲家、全く聞いたことのない名前ですが、このレーベルの商品だったらいつも良心的なものが届けられていたような印象があったので、「レクイエム」だけでも、と思い買ってみました。そんなに高くもありませんでしたし。
ハメリクという人は、母国デンマークで基本的な教育を受けた後、ドイツに留学、そこでハンス・フォン・ビューローや、あのベルリオーズの教えを受けることになります。その後はアメリカに渡り、ボルティモアの音楽大学で長いこと教師、あるいは指揮者としての生活を送ります。そこでは80人編成のオーケストラを作ったりしていたそうですね。晩年はデンマークに戻りますが、アメリカ時代ほどの名声は得られなかったのだとか。
彼は全部で7つの交響曲を作っていてそれがこのBOXには収められているのですが、そのすべてにタイトルが付いているというのは、やはりベルリオーズの影響なのでしょうか。「1番」の「詩的交響曲」、「2番」の「悲劇的交響曲」から始まって「6番」はなんと「精神交響曲(輸入元による邦題)」というのですから、すごいですね。この日本語のタイトルだと、「精神的に高潔」なのか、「精神的にアブない」のか分からなくて、いまいち不安ですが。さらに「7番」になると「合唱交響曲」と、ベートーヴェンの最後の交響曲みたいですが、これはどうやらオーケストラ伴奏の合唱曲のようですね。
お目当ての「レクイエム」は、1887年に作られました。冒頭を単音で始めるというのは、フォーレの名曲を思わせるアイディアですが、その音が厳粛に全音下がってまた元の音に戻るという最初のフレーズを聴くと、我々日本人は反射的に「座ったままではいけない、た、立たなければ」という思いに駆られるのではないでしょうか。そんなちょっと恐ろしいテーマですが、どうやらそこまで深い意味はなかったようで、音楽はいとも派手に進んでいきます。
次の「Dies irae」は、予想通りのらんちき騒ぎです。師ベルリオーズ譲りの、例のグレゴリアン・チャントが、恥ずかしいほどちゃんと使われている上に、ドラは鳴るは、ティンパニ(2セット?)は荒れ狂うはで、その迫力はSACDによってさらにリアルに伝わってきます。もちろんトランペットも大活躍、しかし、「タタタター」というリズムで長三和音を重ねられると、ほとんどメンデルスゾーンの「結婚行進曲」にしか聞こえないのですから、笑えます。
そんな曲ですから、合唱は悲惨です。元々そんなに高いレベルの合唱団ではないのですが、それがハイテンションでわめき立てるさまは、確かに「最後の日」の悲惨さを実感できるものにはなっています。もちろん、もっと節度のある音楽と、きちんと訓練された合唱を聞き慣れている人にとっては、これは苦痛以外の何者でもありません。
途中で入ってくるメゾ・ソプラノのソロも、力だけはこもっていても到底敬虔な思いなどは抱けないな、というものですし。
Sanctus」あたりは、もろヴェルディのパクリといった感じですね。「Agnus Dei」では、グレゴリアンがまたまた登場します。同じことをデュリュフレがやるのはもう少し先の時代になるのですが、それをすでに聴いてしまっている人には、なんとも唐突に感じられるのではないでしょうか。なんで、こんな底の浅い音楽の中でこのテーマを聴かなければいけないのか、と。
これ1曲でこの作曲家のことをボロクソに言うのは間違っているのかもしれませんね。せめて「精神交響曲」ぐらい聴いたあとで、再度このBOXが語れれば良いのでしょうが、果たしてそんな勇気がわいてくるかどうか。

SACD Artwork © Dacapo Records
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by jurassic_oyaji | 2010-06-03 20:14 | 合唱 | Comments(0)