おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
DURUFLÉ/Requiem & Messe cum Jubilo

Christianne Stotijn(MS)
Mattijs van de Woerd(Bar)
Erwin Wiersinga(Org)
Peter Dijkstra/
vocal ensemble THE GENTS
CHANNEL/CCS SA 22405(hybrid SACD)



珍しいことが続くときには続くものです。先日久しぶりにデュリュフレのレクイエムの新譜(録音は1999年と、少し前のものですが)をご紹介できたと思ったら、またまたこんな珍しい曲の新録音が出ました。今回はハイブリッドSACD、つまり、この曲の最初のDSD録音ということになります。ただ、値段が4000円以上、今時SACDでもこんなに高いのは無いのに、と思ってよく見たら、2枚組でした。カップリングがこの前のものとよく似ていて、レクイエムの他にはプーランクの「パドヴァの聖アントニオのラウダ」とメシアンの「おお聖餐」というところまでは全く一緒、そのほかの収録曲は、プーランクのもう一つの男声合唱曲「アッシジの聖フランチェスコの4つの小さな祈り」と、デュリュフレの「我らが父よ」と、ミサ「クム・ユビロ」です。ただ、これだけではトータルの時間は85分、せっかく2枚組にしたのなら、「4つのモテット」も入れて、デュリュフレの全合唱作品+αとしてくれたのであるふぁ良かったのに、という思いは残ります。
このラインナップを見てお気づきのように、レクイエム以外はほとんど男声だけの編成、そう、このアルバムのアーティストは、「ザ・ジェンツ」という、男声のアンサンブルなのです。1999年に、オランダの「ローデン少年合唱団」の団員だった人たちが結成したという、まだ出来て間もない団体ですが、すでに各方面で高い評価を獲得、4月下旬には来日公演も予定されているといいます。
カウンターテナーも含む16人編成のアンサンブル、それこそ「シャンティクリア」のようにそのままで混声合唱のレパートリーも演奏できなくは無いのでしょうが、ここで「レクイエム」を歌うときには、きちんと女声のメンバーを補充して演奏しています。その女声も、極力ビブラートを押さえた清楚な歌い方、しかもアルトのパートには男声が加わりますから、音色的には見事に均質化が図られています。ハーモニーも抜群、聴いていて不安になるところなど全くない美しい音楽が、そこからは流れてきます。しかし、その、まるで天上から聞こえてくるような安らかな響きにも、しばらく経つと少々不満が募ってきます。そこには「緊張感」といったものがほとんど感じられないのです。この曲に要求されるのは、「穏やかさ」とともに「力強さ」、その対比がまるで見えてこない弱々しいフォルテは、この団体の最大の欠点です。そのことに気づいた瞬間、今まであれほど魅力的だったハーモニーも何か色あせて聞こえてくるのですから不思議なものです。大詰め「In paradisum」の後半、「Chorus angelorum」という歌詞で始まる部分で聞こえて欲しい、この曲の最大の魅力であるふんわりとした色彩感を味わうことは、ついにありませんでした。消極的なサポートに終始して、音楽を作るための意欲がとことん欠如しているオルガンにも、責任の一端はあるはずです。
本来の編成である男声のためのミサ「クム・ユビロ」(「レクイエム」ではグレゴリオ聖歌を素材として曲が作られていましたが、その20年後に作られたこの曲では、男声パートは完全なユニゾン、つまり、現代におけるグレゴリオ聖歌の再創造の趣を持っています)では、そのユニゾンがいかにも頼りなげ、そしてプーランクの曲でも、このアンサンブルが持つ「ゆるさ」は、払拭されることはありません。どこか焦点の定まらない芯のない響きと表現、なまじハーモニーが美しいだけに、その拙さは際だっています。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2005-04-11 19:31 | 合唱 | Comments(0)