おやぢの部屋2
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BOCCHIRINI/Symphonies
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Matthias Bamert/
London Mozart Players
CHANDOS/CHAN 10604




ルイジ・ボッケリーニと言えば、「メヌエット」がとても有名な作曲家ですよね。いや、もはやこの曲は作曲家の名前がつかなくても、ほとんど「パブリック・ドメイン」のノリで親しまれている曲なのではないでしょうか。それこそ、パッヘルベルの「カノン」のように。いや、あちらは「カノン」以外はほとんど知られることのない「一発屋」ですが、ボッケリーニの場合は夥しい数の室内楽が知られていますから、そんな人と類似の作曲家と見られるのは心外なのかもしれません。
そうは言っても、室内楽以外のジャンルでは、やはりボッケリーニはその実態はそれほど知られてはいないはずです。今回のバーメルトの「モーツァルトの同時代の作曲家」シリーズで取り上げられている「交響曲」にしても、今まで全く耳にしたことはないものばかりでしたからね。
実際は、ボッケリーニが作った「交響曲」は20曲以上あるそうなのです。ただ、ここに収録されている3曲の「交響曲」のうちの、2曲までが、「Concerto」というタイトルを持つ曲です。しかし、それぞれ楽章は4つですし、特に独奏楽器を立てているわけでもないので、「協奏曲」というよりは「コンセール」と思えばいいのでしょうね。どちらも、ボッケリーニが仕えていたスペイン宮廷の王子のために1771年に作られたものです。それこそ「メヌエット」を思い起こさせるような、とことん上品で柔らかな肌触りの音楽が、最初から最後まで聴く人を魅了して放さないという、とてもキャッチーな作品です。ざっと聴いた感じ、同じ時代の「交響曲」にありがちな無駄な部分がほとんど見当たらないところが、そんな風に感じられる要因なのかもしれません。そんなあたりが、この作曲家の最大の美点なのでしょうね。
「第3番」では、管楽器はオーボエとホルンしか入っていないという、この時代のスタンダードな編成がとられています。あくまで優雅に進められている音楽の肌触りは、第3楽章のメヌエットになっても変わりません。と、ひとしきりメヌエットの優しさに浸りきったところで、トリオになったらいきなりピッコロのソロが聞こえてきましたよ。もちろん、ここで演奏しているロンドン・モーツァルト・プレイヤーズでは、その部分だけはフルート奏者が担当していますが、この曲が作られた当時はそんな贅沢なことは出来るはずもありませんから、オーボエ奏者がピッコロを吹いたのでしょうね。実は、ここは譜面上はフルートなのだそうです。それをあえてピッコロで演奏しているのですが、それはこの楽器にありがちな刺激的なところなど全く感じられない優雅なものでした。奏者の技量もあるのでしょうが、ピッコロでさえこれほどまろやかに歌わせられるのが、ボッケリーニの「ウリ」なのでしょうね。
「第8番」になると、編成はオーボエがなくなってフルートとホルンだけになります。ここでは、この2本のフルートが入れてくれる合いの手が、とっても素敵です。常に2本がセットになってハモっているのが、なんとも柔らかで、穏やかな雰囲気をたたえています。こういうフルートの使い方は「モーツァルト」ではあまり見られません。この楽器を信じてくれていれば、これほど美しいものが作れたはずなのに。
最後の「21番」は、それから15年後、プロイセンのフリードリヒ大王のために作られました。こちらは「Sinfonie」というタイトルとは裏腹に、あちこちに独奏楽器が登場する「シンフォニー・コンチェルタンテ」の形をとったものです。面白いのは、この時代の「交響曲」にはあるまじき、楽章の交換が行われていること。まるでベートーヴェンの「第9」のように、第2楽章が「メヌエット」、第3楽章が「アンダンテ」になってますよ。その「アンダンテ」での、哀愁に満ちたオーボエ・ソロと、それに絡みつくチェロのソロは、まさに絶品です。

CD Artwork © Chandos Records Ltd
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by jurassic_oyaji | 2010-06-18 21:21 | オーケストラ | Comments(0)