おやぢの部屋2
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BARTÓK/Concerto for Orchesttra
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Georg Solti/
London Symphony Orchestra
DECCA/UCGD-9001(single layer SACD)




「レコード芸術」などでも話題になっていた、ユニバーサル(日本のメーカー)の最新SACDです。21世紀の初頭にCDの上を行くスペックを持つメディアとして登場したSACDは、開発に携わったのがSONYと、そしてUNIVERSAL傘下のPHILIPSでしたから、当然DGDECCAPHILIPSといったレーベルからはこのフォーマットのCDが大々的にリリースされることになりました。しかし、なぜかUNIVERSALや、そしてSONYまでが、いつの間にかこのフォーマットからは手を引いてしまいます。メジャー・レーベルの思惑通りには、このソフト、そしてそれを再生するためのハードは普及しなかったからなのでしょうね。
しかし、SACDそのものはなくなることはありませんでした。マイナー・レーベルを中心にコンスタントにリリースは続けられましたし、新興の、オーケストラの自主制作レーベルでは、SACDで出ることがほぼ当たり前のようになっています。さらに、UNIVERSALの音源自体も、オーディオ・メーカーのエソテリックによって往年のアナログ録音がSACD化されたりしていました。これは、「マスタリングの神様」、杉本一家さんによるマスタリングと相まって、マニアには大好評をもって迎えられ、限定生産のアイテムは予約だけで完売してしまうほどのヒット商品となったのです。
今回の、ユニバーサルによるSACDは、そんな潜在的な需要に応えるために制作されたのかもしれません。なにしろ、その仕様は、一切妥協はしようとはせず、ハイブリッドのCD層や、サラウンドのトラックといった余計なものをすべて排した、まさにオーディオ・マニアに特化したものだったのですからね。しかも素材はSHM、こんなもので商売になるのかな、と、心配になるほどのすごいスペックです。
1枚4500円という、かなりの高額商品、それに見合うだけのものに仕上がっているかは、実際に聴いて確かめてみなければなりません。そこで選んだのが、あのジョン・カルショーがプロデュースした1965年の録音、ショルティとロンドン響による「オケコン」です。オリジナルのLPを聴いたことはありませんから、とりあえず2001年リマスターのCD467 686-2)との比較です。
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その違いはまさに歴然たるものでした。「序」の冒頭、低弦のユニゾンに続く弱音器を付けたヴァイオリンの繊細なテクスチュアは、まさにSACDの独壇場です。そして、お待ちかねのフルート・ソロ、CDに比べると、全く別の人が吹いているほどの強烈な存在感が伝わってきます。これなんですよね。ソロ楽器がしっかりと立体的に浮き上がって来るというこの感じが、なぜかCDでは平板なものになってしまっていたのでした。その後の弦と木管のトゥッティでの質感も、すごいものでした。飽和するギリギリのレベルで録音されているものが、まだまだいくらでも余裕があるように聞こえてきます。このあたりは、それこそ杉本さんのXRCDを思い起こさせるような質感です。これはすごい!と思っても、もちろんこのDSDマスターは、2004年にDECCAによって作られたもの、杉本さんの手が加わったものではありません。しかし、なんと良い仕事をしていたことでしょう。DECCAは。ライナーにはその頃に発売された同じマスターによるSACDとの比較が掲載されていますが、今回の単層化や、素材の違いによって画期的に音が変わったとも述べられています。まあ、それが「ウリ」なのですから、マスター自体が別物だという可能性は考えなくても良いのでしょうね。そもそも、ユニバーサルにはマスターは必ず本国のものを使わなければならないという「掟」があるそうなのですし(だとしたら、エソテリックの杉本マスターは何なんだ、ということになりますが)。
そんなすごい音で聴いてみると、今度は演奏の粗さがいやでも分かってしまいます。「フィナーレ」などは相当にヤバい演奏だったんですね。世の中には、真実を知らない方が良かったな、と思えることがたくさんあるのでしょう。

SACD Artwork © Decca Music Group Limited

↓昨日から、一番上のエントリーに広告が入るようになったのだそうです。邪魔ですが、有料版にしないとなくなりません。我慢してください。
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by jurassic_oyaji | 2010-07-02 21:29 | オーケストラ | Comments(0)