おやぢの部屋2
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STRAVINSKY/Mass etc.
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Philippe Herreweghe/
Collegium Vocale Gent
Royal Flemish Philharmonic
PENTATONE/PTC 5186 349(hybrid SACD)




ヘレヴェッヘとストラヴィンスキーという、一見ミスマッチのような組み合わせのアルバムです。しかし、ここで彼が演奏している曲たちは、ストラヴィンスキーにしてはかなり特殊な位置づけが出来るはずの宗教曲だということに気づけば、そんな違和感もそれほど気にはならなくなるかもしれません。なんせ、マジで教会で演奏されることを想定して作った「ミサ」などがあるのですからね。
その「ミサ」は、編成が一風変わったものでした。ここでは「混声合唱」で歌われていますが、楽譜上は「児童合唱と、男声合唱」という、高音部にあえて大人ではなく子どもの声を求めているのが特徴的です。そして、伴奏が「double wind quintet」という表記なのですが、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンがそれぞれ2本ずつ、ではなく、オーボエ2、コール・アングレ1、ファゴット2、トランペット2、トロンボーン3という、変則的な「十重奏」になっています。これは、ルネサンスのショーム・バンドを模倣した合奏形態なのでしょう。
そこで歌われる合唱も、そんなルネサンス風の様式を模倣しています。ただ、久しぶりに聞いたヘレヴェッヘの合唱団「コレギウム・ヴォカーレ・ヘント」は、なんとも精彩を欠いたものでした。肝心の女声パートが、なんとも硬直した響きで、かつて確かに持っていたはずの透明性が全く見られないのですね。いや、実は彼女たちが変わったわけではなく、もっと透明で滑らかな合唱団を体験してしまった結果、相対的に評価が下がってしまっただけだったのかも。
もう一つ興味のある作品が、バッハのオルガンのためのカノン風変奏曲「高き天より、我は来たれり
Vom Himmel hoch da komm' ich her」です。その有名なクリスマスのコラールに続いて、5つの異なるカノンによる変奏が演奏されているのを、オーケストラのために編曲したものですが、変奏の中に現れるコラールを、実際に合唱で歌わせる、というアイディアが光っています。オリジナルのオルガン曲と比べてみると、カノンの声部がフルートなどのソロ楽器で演奏されていて、ある種無機的なオルガンのストップとは異なる肉感的なものを感じることが出来ます。全体的にかなり早目のテンポに変わっていて、特に第4変奏などは、ソロ楽器の超絶技巧に頼らなければ成立しない音楽になっています。そんな「人間くささ」を表に出すのが、作曲者(編曲者)の狙いだったのかもしれませんね。
おそらくこのアルバムのメインとして置かれているのが、有名な「詩篇交響曲」です。ヘレヴェッヘは、この曲から、あえて刺激的な表現を導き出すことを避け、あくまで穏やかな語り口に終始することを心がけているように感じられます。そんなアプローチは、合唱団の雑な響きと相まって、なんとも生ぬるい仕上がりになってしまっているのが、残念です。
このオランダのレーベルは、積極的にSACDをリリースしている点で、ファンには好感をもって迎えられています。それを支えるのが、かつての同じオランダの名門レーベルPHILIPSの録音スタッフによる「ポリヒムニア Polyhymnia」という録音チームです。これも、もちろん彼らによる録音ですが、最近ではドイツの別のチーム「トリトヌス Tritonus」などもこのレーベルの録音を手がけるようになって、さらにサウンドに幅が出てきているようにもなっています。
ただ、そのあたりの情報をいい加減に受け取って、こちらのようなまるででたらめなインフォを流すサイトがあるのは、困ったものです。こんなコアな情報は、たちまちネットで増殖するもの(現に、すでに「汚染」されているブログを発見しました)、普通のメーカー・インフォだったら無視できるのですが、ここはなんだか担当者がえらく力を込めて独自のものを執筆していたりして、さも「真実」のように思わせられるだけに、始末に負えません。こういうものは、決して信用してはいけましんよう

SACD Artwork © PentaTone Music b.v.
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by jurassic_oyaji | 2010-07-05 21:41 | 合唱 | Comments(0)