おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem(ver. Levin)
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Julia Kleiter(Sop), Gerhild Romberger(Alt)
Daniel Sans(Ten), Klaus Mertens(Bas)
Ralf Otto/
Bachchor Mainz
L'arpa festante München
NCA/60159 215(hybrid SACD)




最近では、CDだけではなく、実際のコンサートでも「レヴィン版」が使われることが多くなっているモーツァルトのレクイエムです。もう少しすると、仙台市でも、初めてとなるこの版による演奏が聴けるはずです。ただ、練習している当人たちは今まで歌ってきたものとは微妙に違っているので当惑しているようですね。「アーメン・フーガなんて、なじめないわ」などと文句を言ってましたっけ。
今回のアイテムは、レヴィン版としては最も新しいものですが、録音されたのは2005年の8月、しかも、リリースされてからかなり経っていたものを偶然店頭で発見しました。ネットの新譜はくまなくチェックしているのですが、こんなマイナーなレーベルですから、つい見逃していました。でも、ジュスマイヤー版以外の「レクイエム」ですから、もれなくご紹介です。
この版のSACDとしては、LINNマッケラス盤がありました。しかし、それを聴いた当時はSACDを聴ける環境ではなかったので、これが、SACDによるレヴィン版の最初の体験となります。
これはまさにSACDならではのすごい録音でした。教会でセッションが行われていますが、まず、その場所のアコースティックスを最大限に生かしての壮大な残響によって、なんとも広い空間が感じられるものになっています。そんな中で、個々の楽器や声がとてつもない明晰さで聞こえてくるのですよ。ご存じのように、レヴィン版には、ほかの修復稿には見られない印象的なフレーズが、オーケストラ・パートのあちこちにちりばめられているのですが、それらが本当にくっきりと浮かび上がってくるのですね。何度も聴いてきたはずのレヴィン版ですが、今まで聞こえて来なかったようなモチーフにも気づかされたりして、新たな魅力に触れた思いです。楽器の質感も見事に表現されています。本当に静かなところでのバロック・ヴァイオリンが醸し出すなんとも言えない肌触りなどは、ゾクゾクとしたものが迫ってきますよ。そして、合唱ではメンバーひとりひとりの声が浮き上がって聞こえてくるのですね。あとで録音スタッフのクレジットを見てみると、その中の一人に「トリトヌス」のペーター・レンガーの名前がありました。まさに、SACDの特徴を知り尽くした人たちだったんですね。さすがです。
そんなすごい録音ですから、合唱などは少々荒っぽく聞こえてしまうのはやむをえません。40人ほどの、オリジナル楽器のオケと共演するにしては大人数の合唱なのですが、あまりの解像度の高さのために、合唱としてではなく、個々のソリストとして聞こえてしまうのですね。思いっきりかぶりつきで聴いていると言った感じでしょうか。声がでかいぞう
これが、ヘタな合唱団だったら目も当てられないところでしたが、この合唱団は幸いかなりのレベルを持っているところでした。ただ、緊密なアンサンブルによって透明な響きを生みだすほどの訓練は受けてはいないようで、ちょっと雑なところがないわけではありません。しかし、その「雑」なところが、ここでは見事に「力」に変わっている、というのが、うれしいところです。メンバーそれぞれの熱い思いが、ストレートに伝わってきて、それはパワフルな演奏を生みだしているのですね。「Dies irae」などは、ほとんど「叫び」に近いほどの力の入れようなのですが、それが決して不快には感じられないというあたりが、彼らの持ち味なのでしょう。
ソリストたちも、「パワー」という点では負けていません。もちろん、それはベル・カントによる力ずくのものではなく、あくまでこの時代の様式にのっとった範囲内での力強さ、芯のある声による真摯な演奏は、爽やかささえ感じられるものでした。バスのメルテンスのソフトな音色が、そんな印象を生んでいたのでしょう。
そんな素材を任されて、指揮のオットーは衒いのない堅実な音楽を聴かせてくれています。よいSACDに巡り合えました。

SACD Artwork © Membran Music Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2010-07-09 21:30 | 合唱 | Comments(0)