おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Symphony No.9
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Christiane Oelze(Sop), Ingeborg Danz(MS)
Christoph Strehl(Ten), David Wilson-Johnson(Bas)
Philippe Herreweghe/
Collegium Vocale Gent, Academia Chigiana Siena
Royal Flemish Philharmonic
PENTATONE/PTC 5186 317(hybrid SACD)




かつて、オランダには有名な電機会社PHILIPSを親会社として作られた同名のレーベルがありました。LP時代にはそれこそ「イ・ムジチ」などのレコードで大ヒットを飛ばしていましたね。浣腸じゃないですよ(それは「イ・チジク」@タモリ)。もちろん、CDの時代になっても、その躍進ぶりは続きます。なんたって、そのCDの規格をソニーとともに作ったのがこのPHILIPSなんですからね(もっと言えば、カセットテープの規格を作ったのも、ここでした)。ところが、DGDECCAとともにUNIVERSALの傘下に入ってから、何だか様子がおかしくなってきます。いつの間にか、新しい録音を行わなくなっていたと思っていたら、ついにレーベルそのものが消滅してしまったのです。
そこで、2001年に、かつてのPHILIPSの経営者3人が集まって作ったレーベルが、このPENTATONEです。彼らは、PHILIPSのカタログの一部を管理するとともに、新しい録音も企画、その際に掲げたのが、「すべて、SACDのサラウンドでリリース」というスローガンでした。やはりPHILIPSでのエンジニアが作った録音チーム「Polyhymnia International」が、その最先端の録音を担当するといういわばPHILIPSOBによる両輪体制で、今までに多くの名盤を世に送ってきています。
ところが、最近になって、そんな緊密な録音のパートナーが替わるという事態が起こりました。10年近くにわたってお互いを高めあってきた恋人を裏切り、さらにスキルアップしてくれそうなオトコに乗り換えた、というようなものでしょうか。その相手というのが、1987年にシュトゥットガルトで創設された「Tritonus Musikproduktion」という、ECMSONYDGHM、さらにはサンフランシスコ交響楽団の自主レーベルまでも手掛けている録音チームです。
そんな「浮気」の末に出来上がったのが、2007年から始まったこのヘレヴェッヘとロイヤル・フランダース・フィルとのベートーヴェン・ツィクルスです。ただ、同じメンバーによる先日のストラヴィンスキーだけは、元カレとの仕事でしたが、そちらまでも「浮気」の疑いがかけられてしまったという、笑えない事実があります。こういうことは、一度あやまち(?)を犯してしまうと、なかなか信じてもらえないようになってしまうものなのです。
PENTATONEがなぜTritonusに走ったのかは、当人同士の問題ですから深い詮索は無用です。好きなもの同士が一緒になればいいのですからね。リスナーとしてはその結果良いものが出来さえすれば、それで構わないのですよ。
この「第9」を聴いた限りでは、その評価は微妙です。録音のクオリティ自体はどちらも非常に高いレベルにありますから問題はないのですが、それぞれの録音ポリシーがかなり違っていることだけは、これ1枚を聴いただけでもはっきりするはずです。Polyhymniaは、個々の楽器の音がきっちりと聞こえてくるのに対して、Tritonusは、全体の響きを重視して録音するような傾向にあるのですね。雰囲気的にはこちらの方がより自然な感じはするものの、やはり、音だけで聴くときには、もう少し明晰なところがあった方が、より好ましく思えてしまいます。実際にこの演奏の場合、モダン・オケがかなりピリオド・アプローチを試みているために、例えば木管の楽器を使っているフルート・パートなどは明らかにバランス的に弱くなっていて、ソロのパッセージがほとんど聞こえてこないのですよね。まあ、そのあたりはあくまで好みの問題なのでしょうが。
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ヘレヴェッヘは、同じ曲を1998年に、オリジナル楽器のオーケストラとHARMONIA MUNDIに録音しています(HMC 901687)。それと聴き比べてみると、基本的なアプローチは全く変わっていませんが、なぜか昔の録音の方が勢いがあるように感じられてしまいます。声楽陣も、昔の方が安定感がありました。こちらでは、超高速の第4楽章のマーチに、テノール・ソロが全くついて行けてないという悲惨な一面も。

SACD Artwork © PentaTone Music b.v.
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by jurassic_oyaji | 2010-07-15 20:31 | オーケストラ | Comments(0)