おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
APHRODITE
c0039487_23134986.jpg




Kylie Minogue
PARLOPHONE/50999 642906 2 1




1980年代後半に、米英のヒットチャートは「ユーロビート」とカテゴライズされた音楽に席巻されることになりました。シンプルなビートに乗ったダンサブルなサウンドは、極めてキャッチーなメロディと相まって誰にでも好まれる音楽として世界中でヒットしていたのです。そんな「ユーロビート」を送り出していた「仕掛け人」の中で最も成功を収めていたのが、「ストック・エイトケン・ウォーターマン」というチームです。これは、3人のクリエーターのラストネームを並べたものなのですが、マイク・ストックと、マット・エイトケンという人たちが曲作りを担当、ピート・ウォーターマンという人がプロデュースを担当していました。彼らが制作した曲はまさに当時の「ヒットの方程式」にかなっていたもので、出すものすべてが大ヒットを記録するという文字通りカリスマ的な存在でした。そう、卑近な例では、同じように日本国内でもヒット曲製造マシーンを化していた小室哲也のようなものですね。
彼らが抱えていたアーティストの中で抜群の「成績」を誇っていたのが、以前ご紹介したリック・アストリーと、カイリー・ミノーグです。暑苦しい名前ですね(「懐炉、湯豆腐」)。実は、その頃のカイリーの1989年にリリースされたセカンド・アルバムが手元にあるのですが、今聴いても勢いのあるサウンドは魅力的です。余談ですが、先日さる町内会の夏祭りに参加した時に、BGMとしてこのアルバムが流されていたのに驚いたことがありました。主催者はかなり高齢者と思われるその催し物ですが、おそらく20年前には彼女に熱中していた方が、引っ張り出してきたのでしょうね。それは、確かに時代を超えた高揚感をもたらす音楽でした。
c0039487_2315411.jpg

その手の、いわば「アイドル」だったカイリーでしたが、その歌のうまさにはただのアイドルを超えたものがありました。そのことは彼女自身も認識していたのでしょう、やがてウォーターマンたちとも袂を分かって、新たな可能性を追求するようになっていきます。それからは、彼女は視界の外へ消えてしまい、いつしかその存在自体も忘れてしまっていた頃、2000年代の初頭あたりに、彼女は新天地EMIでの中心的なアーティストになっていたことを知ることになりました。そう、あたかもWARNERでのマドンナのように、彼女はレーベルを背負って立つビッグ・アーティストに育っていたのでした。その頃には、デビュー当時の初々しさは見事に消え去り、それこそマドンナでも意識したのでしょうか、やたら肌の露出の多い「お色気」路線で突き進んでいたのが、ちょっと違和感を抱かせるものではありましたが。
そんな、見事に変身を図った彼女の、これはおそらく通算11枚目となるニュー・アルバムです。購入したのは特別仕様のようで、最近のライブやPVのメイキング映像などが収録されたDVDが同梱されています。その、2009年に行われた北米ツアーの映像には、見事に「大人」のシンガーに変身した彼女の姿がありました。歌声も、まるでベル・カントのような美しい高音を聴かせてくれていますよ。こうなると、マドンナではなく、サラ・ブライトマンあたりの存在をも脅かし兼ねないゴージャスなたたずまいではありませんか。そのステージも、ミュージカル仕立ての粋なものでしたしね。
ところが、肝心のCDになると、それとは全く異なるちょっと古風なテクノ(「クラフトワーク」を連想してしまいました)のサウンドに支配されたヘビーなものだったのには、ちょっと引いてしまいました。いかにも、世界戦略を目指すような野心は強く感じられるものの、セカンド・アルバムのバラードっぽいもののような、リラックスして楽しませてくれる要素が全くないのが、ちょっと残念、ライブで見せてくれた卓越した高音も、ここでは聴くことは出来ませんでしたし。

CD Artwork © EMI Records Ltd.
[PR]
by jurassic_oyaji | 2010-07-27 23:15 | ポップス | Comments(0)