おやぢの部屋2
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MOZART/Flötekonzert・Oboenkonzert
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Irena Grafenauer(Fl)
François Leleux(Ob)
Günter Wand, Collin Davis/
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
BR/900710




最近出来たばかりのバイエルン放送の自主制作レーベルBRからは、最新の録音はSACDでリリースされていますが、ちょっと昔のアーカイヴだと、CDになってしまうのですね。別にサラウンド・トラックがなくても、2チャンネルだけのSACDで構わないのに、まだそういう意識は主流にはなっていないようですね。ちょっと残念。
このアルバムでは、かつてバイエルン放送交響楽団の首席奏者だった2人がソロを担当している、モーツァルトの協奏曲を聴くことが出来ます。まずは、1977年から1987年までフルートの首席奏者を務めていたイレーナ・グラフェナウアーのソロで、ト長調のフルート協奏曲です(彼女は、20歳という異例な若さで、首席に抜擢されました)。録音されたのは1981年、指揮者は、あのギュンター・ヴァントです。放送音源ですから当然ライブ演奏の収録だと思いきや、コンサート会場のヘルクレス・ザールでのセッション録音だというのには驚きます。
グラフェナウアーといえば、1979年のミュンヘンでの国際音楽コンクールで優勝した時のことを、今でも鮮明に思い出します。確か、同じ時に工藤さんと酒井さんという二人の日本人が入賞したのですよね。その時の模様をFMで聴いたのですが、グラフェナウアーの音はそんな日本人たちとは桁外れに芯があってまろやかだったのが印象的でした。それ以来彼女のファンになってしまったのですが、最近は新録音も見かけませんし、いったいどうしているのでしょう。
久しぶりに聴く彼女の音は、やはり素晴らしいものでした。ただ、当時70歳になっていたヴァントがバックでは、それほど自分の主張を出すことは出来なかったのでしょうか。なにしろ、コンチェルトの録音でありながら、ソリストよりもオーケストラを重視したバランスになっていますからね。ちょっともったりしたテンポに乗って繰り広げられる音楽は、明らかにヴァントを聴かせるものでした。セッション録音だったら録りなおせる程度のフルートのミスがそのままになっているのも、「力関係」の結果なのでしょうか。実は、同じ曲を彼女は1988年にPHILIPSに録音していますが、こちらはネヴィル・マリナーのサポートでもっと軽やかなものに仕上がっていましたね。その時にはきちんとベーレンライターの原典版に従った演奏になっていましたが、81年の時点ではまだ慣用譜を使っていたようですし。
ここで面白いのが、オケにもフルートが入る第2楽章です。その頃のもう一人の首席奏者は、確かアンドラーシュ・アドリアンだったはずですが、彼がソリストを食ってしまうほど張り切って吹いているのが、良く分かるのですよ。1980年にクーベリックと録音したモーツァルトの交響曲では、曲によってこの二人がそれぞれ吹いているのですが、それを聴くと実力の差は歴然としています。それにもかかわらず、アドリアンはこの24歳の小娘には負けたくなかったのでしょうね。これは、1971年にカラヤンがEMIに録音した同じ曲でのゴールウェイとブラウとは全く逆のケースになっています。
オーボエ協奏曲の方は、もう少し後の時代、1993年から2005年まで在籍していたフランソワ・ルルーがソロを吹いています。2001年の、これはライブ録音です。さっきの録音とは、明らかにポリシーが異なる、全体のアンヴィエンスを大事にするという音が心地よく響きます。ここでの指揮者コリン・デイヴィスは、ヴァントのように自己主張をせず、ひたすらソリストの陰に回っているのも、心地よいものです。そんな伸び伸びとした環境で、ルルーは極上の演奏を聴かせてくれていました。なんと言っても素晴らしいのが、歌心あふれる第2楽章です。多彩な音色を使い分け、まるで聴衆の反応を確かめるかのように繰り出してくるさまざまの「技」、これこそが、本当の意味でのライブ録音の醍醐味なのではないでしょうか。

CD Artwork © BRmedia Service GmbH.
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by jurassic_oyaji | 2010-08-02 20:12 | フルート | Comments(0)