おやぢの部屋2
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BACH, VIVALDI/Concertos
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Salvatore Accardo(Vn)
Severino Gazzelloni(Fl)
Maria Teresa Garatti(Cem)
I Musici
PENTATONE/PTC 5186 149(hybrid SACD)




PENTATONEというのは、さすがはもとPHILIPSの残党が作っただけあって、今はもう影も形もなくなってしまったそのオランダの名門レーベルのカタログの復刻も熱心に行っています。ただ、このレーベルは「マルチチャンネルのSACDでリリース」というポリシーを掲げている以上、そんなかつてのアナログ、2チャンネルのマスターに関しては、マルチチャンネルを「でっち上げ」ざるを得ません。そこで、「Remasterd Quadro Recording」、略して「RQR」という、それこそ「疑似サラウンド」化されたものが商品としてリリースされることになります。「サラウンド」ではなく「クワドロ」という、昔懐かしい単語を引っ張り出してきたのが興味深いところです。カブトムシの仲間ではありませんよ(それは「クワガタ」)。ところで、PHILIPSは往年の「4チャンネル戦争」ではどの方式をとっていたんでしたっけね?案外、4チャンネルのマスターなんてものがあったのかもしれませんね。
そんな、PHILIPSのアナログ録音のSACDへのマスタリング、今までに相当数(その中には、マズアとゲヴァントハウスのペータース版によるベートーヴェンの交響曲全集なども含まれています)のものがリリースされていたのですが、あいにくそれらを聴く機会はありませんでした。DECCADGでは、なかなかすごい結果が報告されている中にあって、かつてのPOLYGRAM仲間のPHILIPSがどの程度のクオリティのものなのか、最新リリースの「イ・ムジチ」を聴いてみることにしましょうか。
ただ、PENTATONEの場合、必ずしもオリジナルのカップリングやジャケットにはこだわらない方針のようですね。録音年月などは表記されていますが、ジャケットは全く新しいものに変わっています。曲目が、バッハのチェンバロ協奏曲、ヴァイオリン、フルート、チェンバロのための三重協奏曲、そしてヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲ということで、その3つのソロ楽器の一部がデザインされた、一見素敵なものです。ところが、タイトルで隠れる前の写真が、実はブックレットの裏表紙になっているのですが、フルートがこんなことになっていましたよ。
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こんな風にキーが同じ位置に並ぶようにセットしたのでは、フルートを演奏することは出来ないのですよ。楽器のことを何も知らない人がデザインして、それをチェックできなかったという「非音楽的」なスタッフが作った商品、というのがミエミエなのですから、がっかりしてしまいます。
間違いはそれだけではなく、演奏者の名前のスペルが「Gazzellonii」とか「Accardoi」となっていますし、ブックレットの最後のページに掲載されている同じアーティストの既発売盤のリストで品番が全く別のものになっているのですから、そのお粗末さは度を超していませんか。これに比べれば、「1985年」なんて、かわいいものです(意味不明)。
SACDから聞こえてきたアナログ音源は、予想していたのとはちょっと違っていました。もっと上品でサラッとしたものをイメージしていたのですが、実際にはもっと骨太で、個々の楽器の音がしっかり聞こえてくるようなサウンドだったのです。これが本来の音なのか、「疑似サラウンド」の結果、いくらか変わってしまったものなのかは、元のLPを聴いたことがないので、なんとも言えません。
そんなはっきりした音の中でひときわ目立つのが、強靭なチェンバロです。特にバッハの協奏曲ではソロとして扱われていますが、それが録音されたのが1973年、この時代には、「バロック」といえども、当然のことのようにモダン・チェンバロが使われていたのですね。確かに、その頃の写真を見るとガラッティはいかにも頑丈そうなモダン・チェンバロの前に座っていました。
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かつて、リアルタイムに「イ・ムジチ」を聴いていた頃には、彼らの演奏するバロック音楽の数々は、いとも優雅に聞こえてきたものでした。しかし、実体はこんなことだったのですね。昔あこがれていた年上の美しいお姉さん、しかし、大人になって改めて写真を見てみたら、それはいとも醜い厚化粧の女だった、そんな感じでしょうか。

SACD Artwork © PentaTone Music b.v.
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by jurassic_oyaji | 2010-08-09 20:46 | 室内楽 | Comments(0)