おやぢの部屋2
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HISAISHI/"LAPUTA"Castle in the Sky
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時任康文/
フィルハーモニック・ウィンズ 大阪
PRIVATE/YGMO-1009



「おやぢ」始まって以来の吹奏楽です。今や吹奏楽は教育現場では合唱を押しのけて普及が進んでいて、小学校あたりでも合唱団はなくともブラスバンドはちゃんとしたものが存在する、という、かつては考えられなかったような状況になっているのだそうです。
ですから、吹奏楽をやる人が増えれば、当然吹奏楽を聴く人も増えて来るはずで、今ではレコードやさんの店頭では「吹奏楽コーナー」が設けられるほど、多くのCDが出ています。にもかかわらず、これまでに2000点近くのアイテムをご紹介してきた「おやぢ」では、金管アンサンブルを除いては、この木管楽器と金管楽器(と、打楽器)だけによるアンサンブルを取り上げることはありませんでした。それは、ひとえに担当者が吹奏楽に対してあまりよいイメージを持っていないからなのです。特に、吹奏楽のオリジナル曲ではなく、普通のオーケストラ曲を吹奏楽に編曲したときの違和感には、耐えられないものがあります。吹奏楽には弦楽器がありませんから、そのパートをクラリネットやサックスといった管楽器で置き換えて演奏しているのが、そんな違和感の最大の原因です。なぜ、オリジナルの瑞々しい弦楽器の響きを、わざわざそんな代用品で聴かなければならなのでしょうか。
そんな吹奏楽をなぜ聴く気になったのかというと、それはここで指揮をしているのが時任康文さんだったからです。近々、個人的にこの時任さんの指揮で演奏する機会があるものですから、いったいどのような方なのか、興味がありまして。実際、ネットを探してもちゃんとしたプロフィール用の写真すらないものですから、そもそもどんなお顔をしている方か、というあたりから分からないものでして。
お顔に関しては、ブックレットに何点かの鮮明な写真がありましたので、リアルなイメージがわくようになりました。そこで、肝心の「吹奏楽」を聴いてみることになるわけです。
これは、2010年の4月に行われた、大阪にあるプロの吹奏楽団の演奏会のライブ録音です。前半にはレハールやシュトラウスの有名なオペレッタをモチーフにした作品、そして、後半には久石譲の「ジブリ」のテーマ音楽というラインナップです。覚醒剤ではありません(それは「アブリ」)。
オペレッタを編曲しているのは、鈴木英史さんという、この世界では有名な方(だそう)です。ここでは、オリジナルをそのまま吹奏楽に移すというのではなく、自由に「吹奏楽」のサウンドが最も生きるような形に直しているところに好感が持てます。ですから、クラリネットが朗々と弦楽器のメロディを演奏するというような場面が殆どないのには、安心させられます。さらに、重要なところで打楽器の活躍が目立つのも、新鮮な驚きです。マリンバあたりを大胆にフィーチャーしたそのサウンドは、とてもユニークに感じられます。でも、「メリー・ウィドウ」で「ワルツ」が登場しなかったり(アンコールでは出てはきますが)、「こうもり」とは本来無関係のはずの「雷鳴と電光」が半分近くを占めるといった、ちょっと不思議なセンスには、たじろいでしまいますが。
ここでの時任さんの指揮ぶりが、聴いていてとても気持ちの良いものでした。オペラでのキャリアがあるということは知っていましたが、アリアの歌わせ方とか、エンディングの盛り上げ方がとても堂に入っているのですね。おそらく、これは実際に指揮をされると、さらに気持ちのよいものなのではないでしょうか。楽しみになってきました。「チャイ4」の最後など、かなり盛り上がることでしょう。
ただ、「ジブリ」の方は、素材のつまらなさがもろに出てしまって、あまり楽しめませんでした。なぜ「もののけ姫」に、米良さんが歌ったあの歌が入っていないのでしょう。「ポニョ」って、「トトロ」とおんなじメロディなんですね。

CD Artwork © Philharmonic Winds Osakan
by jurassic_oyaji | 2010-08-19 19:46 | オーケストラ | Comments(0)