おやぢの部屋2
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バイロイト音楽祭
 きのうの深夜、ですか、「バイロイトからの生中継」というのを、やっていましたね。なんでも、これは「テレビでは世界初」のことなのだそうです。確かに、今時ではウィーン・フィルのコンサートを「生中継」するなどということはごく当たり前のことになっていますから、そんな外国からの「生中継」なんて、なにも珍しいことではなくなっていますが、やはりバイロイトは特別なのですね。たとえば、映像を作るときでも、お客さんが入ったときの公演を収録するのではなく、客のいない空っぽの劇場で、客席にしっかり足場などを組んで、「セッション」録画をしていたものですね。あの1980年のシェロー/ブーレーズの「指環」などはそんな風にして作られていましたね。本当の「生」を見たいのなら、劇場まで足を運べ、という高飛車な態度が、バイロイトの基本的な姿勢だったのでしょう。
 それが、長く続いたヴォルフガングの治世がやっと終わり、その次の世代に「当主」が変わったとたんに、こんなおいしいことをやってくれました。もう、「伝統」をかさに、排他的な姿勢を貫ける時代ではないのでしょう。
 「テレビでは初の生中継」という言い方が、面白いですね。すでに、ネットでの「生中継」は行われていますから、わざわざこんな言い方をしなければいけないのでしょう。しかし、「テレビでの生中継」が、実は今回が「世界初」のことではなかったことを、知っている人もいるのではないでしょうか。それは、1967年6月25日のこと、BBCが中心になって企画された「Our World」という、それこそ「世界初」の、衛星で全世界をむすんで、世界各地から「生」の映像を送りあおう、という番組が放送されたのですよ。日本からは、確か生まれたばかりの赤ちゃんの足形をとる瞬間、などというしょうもない映像が送られていたはずです。もちろん、これが歴史に残っているのは、その番組の中で「ザ・ビートルズ」が新曲を録音している現場を紹介したからです。「All You Need Is Love」という、今でもよく知られている大ヒット曲を彼らが録音しているところを、ロンドンのアビー・ロード・スタジオ(もちろん、第2スタジオ)から「生中継」したものです。この映像は、事あるごとに紹介されていますよね。あれのオリジナルが、この放送の映像なのです。
 そして、その同じ番組の中で、ドイツから放送されたのが、バイロイトからの「生中継」だったのですよ。それは「ローエングリン」からの1場面が、ほんの数分だけ流れただけのものでした。しかし、その時にバイロイトの劇場の内部が、初めて日本の「お茶の間」のテレビに映ったことになるわけで、私などはそれを見てとても興奮したものでした。もちろん、当時クラスにワーグナー好きなどがいるはずもなく、翌日の教室はビートルズの話題だけで盛り上がっていましたがね。
 ですから、そんな大昔に「世界初」があったことなどは、忘れたふりをして、ひたすらこの快挙をセンセーショナルにあおるNHKでした。まあ、6時間に及ぶ公演を、そのまま放送してくれる太っ腹さは、ありがたいことですが。
 そう、そんなに時間がかかるのは、それぞれの幕間がたっぷり1時間ずつ取られているからなのです。その間に、お客さんは全員劇場の外に追い出されてしまって、その間に中では場面転換とか、ライティングのテストとかをやっているのですね。そういうレアな映像を、そのまま流せばいいものを、NHKがやったことは、それをスタジオ内のモニターで流すだけで、その間は例によって愚にもつかないゲストとのおしゃべりを繰り広げていたのですね。まあ、それ以外にも貴重な現地の映像は紹介されていましたが、あのピアニストの見当外れのコメントには、むかつきました。
 でも、「生」なのに、完璧に日本語字幕を付けていたのには、感服です。あまりに完璧すぎて、本当に生なの?と思ってしまうぐらい。
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by jurassic_oyaji | 2010-08-22 23:17 | 禁断 | Comments(0)