おやぢの部屋2
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VIVALDI, BACH/Concertos
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Alberto Zedda/
Angelicum de Milan
CHARLIN/SLC 2




CHARLIN」というレーベル(どこかで「チャーリン」と英語読みしていた人がいましたが、フランス語なので「シャルラン」と読みます)を知っている人は、ずいぶん少なくなりました。1960年代にアンドレ・シャルランというレコーディング・エンジニアが作ったレーベルです。シャルランという人は、それまではERATOのエンジニアとして活躍していました。フリッツ・ヴェルナーの「マタイ受難曲」など、初期のERATOの録音は、彼の手になるものです。独立して彼の名前のレコードを作り始めたときにセールスポイントにしたのが、「ダミー・ヘッド」によるワンポイント録音でした。それは、彼自身の設計による、ちょうど人間の頭ほどの大きさの、ラグビーボールのような形をしたマイクを1セットだけ使うという録音のやり方です。そのマイクには、左右の耳にあたる部分に小さなマイクが2つ埋め込んであり、まさに人間の耳で聴いたのと同じ音場で音をとらえることが出来るのですね。
実際に、その音は多くの人の耳をとらえ、「シャルラン・レコード」は、なにか特別の、あたかも工芸品のような慈しみを持って迎えられていました。日本でも簡単に輸入盤が手に入りましたが、そのLPの現物を手にしたときには、まず音を聴く前に確かに「特別」な感慨を抱いたものでした。このCDのジャケットからは想像も出来ませんが、そのジャケットは見るからに手間がかかっているもので、タイトルの部分だけ、別の紙が貼り付けられていましたね。そして、普通はそのジャケットの中にポリエチレンなどで出来た中袋に入ったLP本体が収められているのですが、ここではLPは「袋」ではなく、発泡ウレタンを貼り付けた厚紙によって挟まれていたのです。ちょっと怖いですね(いや、「発砲」ではありません)。つまり、LPの盤面は、その柔らかい樹脂によって、傷やホコリから守られている、という形をとられていたのですね。今から考えれば、ウレタンの経時変化で盤面にダメージを与える方が大きいはずですが(かつて、組み物CDの中に入っていたウレタンがどろどろになってしまったという「事故」がありましたね)、その当時はなんとも贅沢な仕様のように感じられたものでした。
ただ、盤質はそれほどよくなかったような気がします。かなり反っていたものもありましたし、何よりもサーフェス・ノイズが多くて、肝心の音がじっくり楽しめなかったような記憶の方が強く残っています。
それがCD化されたものは、以前からあったようなのですが、最近簡単に入手できるような体制が整って、そのカタログが一斉に出回りました。その中から、たぶん最初にLPを買ったはずの、このアイテムで、CD化の成果のあたりを付けてみましょう。
これは、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲と、それをバッハが自分の勉強用と、後にはライプツィヒのコレギウム・ムジクムのためにチェンバロやオルガンに編曲したバージョンとを一緒に聴いてもらおうという、当時としてはなかなか斬新なコンセプトのアルバムでした。「4つのヴァイオリン(チェンバロ)のための協奏曲」などが入っているこれが「第1集」、そのあと「第2集」も出ていました。もちろん、どちらもCD化されています。
このCD、体裁はなんとも素っ気ないものでした。ライナーノーツは、オリジナルのLPに載っていたものをそのまま転載しただけ、詳細な録音データなどは全くありません。そして、なんということでしょう、CD面の印刷が見事に間違っています。これは、「第2集」、CDだと「SLC 24」という品番で出ているものの曲ではありませんか。とんでもないがさつな神経ですね。
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しかし、そんな扱いにもかかわらず、聞こえてきた音はとても素晴らしいものでした。まさかこれほどのものとは全く期待していなかっただけに、逆の意味で裏切られた思いです。あまりに素晴らしかったので、他のアイテムも買ってしまいましたよ。それも含めて、詳細は次回、ということで。

CD Artwork © Edition André Charlin
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by jurassic_oyaji | 2010-08-23 23:15 | オーケストラ | Comments(0)