おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
いきものがかり
 最近はネット配信が増えたためにCDなどのフィジカルな媒体の売り上げが減ってきた、と言われていますが、そもそも音楽を聴くという行為自体の変化が、大きく影響をしているのではないか、という気がしてしょうがありません。かつては「趣味」の範疇にあった「音楽」というものが、今ではほとんど生活の一部となってしまっています。そこでは、何事も安易な方向に流れていくのは必至です。もちろん、その「音楽」というのは、私たちが主に聴いているであろう「クラシック」ではありません。というか、「クラシック」こそは、まだまだ「趣味」のもの、本当に好きな人以外は手を出さないという、いわば「聖域」がまだ厳然として存在している世界ですからね。
 ですから、今ふつうに「音楽」と言えば、「洋楽」とか「邦楽」という、かつての業界用語によって語られるジャンルのものになってきます。それでも、まだ「洋楽」の場合は幾分趣味性は残っているかもしれませんが、「邦楽」となると、もう、たとえばテレビを見るとか、新聞を読むのと同じ感覚で接するものとなってはいませんか?そして、それらは決してインストものではなく、「歌」ものであるのは必須の条件になってきます。だって、「歌詞」がないことには、それを聴いている人はその「楽曲」(これも業界用語)を理解することは出来ないんですからね。というか、「楽曲」について語るときには、ほとんど「歌詞」の内容しか話題に上らない、というのが、普通のレベルの会話の状況なのではないでしょうか。その「楽曲」に共感するかしないかは、「歌詞」のみによって決まってしまうのですよ。「邦楽」を聴く人が「音楽」について語るのは、彦根市民が「むすび丸」について語る以上にあり得ないことなのです。
 その歌詞の中身で、なんとも不思議なことが起こっているのをご存知ですか?女性歌手が主に異性に対する時に使う二人称代名詞には、「きみ」という言葉が使われているのですよ。「♪きみに会いたくて~」とか、「♪きみなしでは、いられない」とか、いまのはたち代のシンガーが歌っている「歌詞」の中では、ほぼ例外なく男性に向かって「きみ」と呼びかける事態が日常化しているのです。これが、とてつもなく異様な事態だと感じられるのは、もしかしたらある年齢以上の人なのかもしれませんが、少なくとも私にとってはこの「きみ」は、気持ち悪くてたまりません。私の中では、「きみ」というのは、あくまで男性が目下の男性、場合によっては女性に対して使う人称代名詞なのですからね。
 ただ、よくは分かりませんが、こういう曲を聴いている彼女たちは、実生活では果たしてこういう意味で「きみ」は使ってはいないのではないか、という気がするのですが、どうなのでしょうか。この不気味な言葉遣いは、あくまで「邦楽」の「歌詞」の中だけのものだ、と思いたいものです。
 「邦楽」の「歌詞」には、よくつかわれる単語、というのがあります。「巡り合えた奇跡」とか「出会えた奇跡」などというフレーズには、3日に1度はお目に書かれます。誰かが最初に使った頃は新鮮でインパクトがあったものも、こんなに使われると逆に気持ちを逆なでされるようで不快感ばかりが募ります。おそらく、「きみ」も、最初はそんなインパクトを狙って、たぶんユーミンとか宇多田ヒカルあたりが使ったものを、それこそ異口同音に(いや、同工異曲?)深い考えもなくみんながマネをしたから、こんな垂れ流し状態になってしまったのかもしれません。
 話は変わりますが、「ゲゲゲ」はなんと6週連続視聴率1位なのだとか。もう「竜馬」など問題外です。これほどのヒットの要因はいろいろ言われていますが、私はテーマ曲の新鮮さも、大きなファクターだと思っています。「♪ありがとうって伝えたくて あなたを見つめるけど」というサビの「歌詞」、これほど「あなた」という言葉が美しく響くのは、ひとえに、どこへ行っても「きみ」しか聞こえてこないという現実があるからなのです。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2010-08-26 21:16 | 禁断 | Comments(0)