おやぢの部屋2
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BACH/Great Choral Works
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Many Soloists
Karl Münchinger/
Stuttgarter Hymnus-Chor, Lübecker Kantorei
Wiener Singakademiechor
Stuttgarter Kammerorchester
NEWTON/8802001




2009年に出来たばかりのオランダの新しいレーベル「NEWTON」の第1回目のラインナップが、日本でも発売になりました。とは言っても、このミュンヒンガーといい、他のマリナーとかラベック姉妹、はたまた小澤といい、どこかで見たことのあるようなアイテムばかりです。つまり、このレーベルは、もはや新しい録音は行わない名前だけの存在になってしまったDECCAPHILIPSのカタログを、専門にリイシューするために作られたものなのです。確かに、これらのレーベルを統括するUNIVERSALが、古いカタログの再発にあまり手をかけていない、という印象は免れません。ちょっと古くなってしまうと、十把一絡げにバジェット・プライスで投げ売りするという無神経さは、最初に出たときの興奮を味わったことのある人にとっては、とても悲しく感じられるのではないでしょうか。もっとも、国内盤のように、古いものも新しいものも一緒くたにして仰々しく「ベスト100」とか言って出す神経には、もっと腹が立ちますが。
そんな大レーベルの旧譜に対する思いやりのなさをカバーするために、陽の目のあたらないものをケアして、愛好家の要望に応えよう、というのが、このレーベルの「建前」なのでしょう。それはなかなか高潔な志ではあるのですが、同じオランダのあのBRILLIANTのように、「死んだ」レーベルのカタログを、まるでハイエナのように「俺(おら)んだ!」とあさっているという風にも感じられるところが気になりますね。同じようなことをやっていても、PENTATONEのように、結果はどうあれ、SACDのためにきちんとマスタリングを行うというのなら、まだ好感は持てますが、そんな手間もかけてはいないようですし。
これは、カール・ミュンヒンガーという往年の「巨匠」がDECCAに録音したバッハの代表的な宗教曲を集めた9枚組のボックスです。価格は5000円前後。それをどう取るかは、おそらくこのアーティストへの親近感の持ち方によって変わってくることでしょう。正直、バロック音楽のパイオニアとしての名前だけは良く知られていても、特にこのジャンルでの評判はいまいち芳しくないものがありますから、「今」の目でそれを検証するための投資としては、妥当なところではないでしょうか。
1964年に録音された「マタイ」から、1974年に録音された「ヨハネ」まで、一通り聴いてみて感じたのは、バッハの音楽に対するミュンヒンガーの深い愛情でした。そして、彼はその「愛情」を聴くものに伝えるために、とことん「美しい」仕上げを施しているのが、良く分かります。弦楽器の、まるで同じレーベルのマントヴァーニのような流麗な響きがそのベース、そこに、例えばヴィンシャーマンのような「甘~い」オーボエが加わると、えもいわれぬ愉悦感が生まれます。「マタイ」では、なんとフリッツ・ヴンダーリッヒのソロが聴けますよ。なぜ「マタイ」にタミーノが、という錯覚を抱くほど、その甘美さはバッハの音楽を超越したものとなっています。
言うまでもなく、そこには同じ時代のカール・リヒターあたりが持っていたような「厳しさ」はありません。おそらく、その辺が今では殆ど顧みられなくなってしまった要因なのでしょうね。しかし、これはこれで、なかなか捨てがたい味があると思うのですが、どうでしょう。
録音は、殆どがホームグラウンドであるシュトゥットガルトの教会で行われていますが、「ロ短調」だけはウィーンのゾフィエンザールという、ショルティの「指環」などが録音された場所が使われています。しかも、エンジニアがあのゴードン・パリーですから、これは嬉しい拾いものでした。これだけは、音の密度が全く違って聞こえます。さらに、ここにはウィーン・アカデミー合唱団というプロの合唱団が参加していますが、それも、他の(たぶん)アマチュアの聖歌隊とはまるで異なる存在感を示しています。

CD Artwork © Newton Classics B.V.
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by jurassic_oyaji | 2010-09-03 20:34 | 合唱 | Comments(0)