おやぢの部屋2
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ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち
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岩田由記夫著
ウェイツ刊
ISBN978-4-901391-01-6



なぜか、仙台の民放FM局で土曜の夜の9時から放送している「ロック & ポップス A to Z」という番組を、毎週聴いています。「エー・トゥー・ゼット」ではなく、しっかり「エイ・トゥー・ズィー」と正しく発音しながら番組のタイトルを読みあげているのは、構成やDJをすべて手掛けている岩田由記夫さんという音楽ライターでした。「禁じられたゼットォォ~ッ」が通じる世代の方のようですね。
しかし、その番組は、およそ民放らしからぬコアなものであることを、何回か聴いていると気づかされます。内容はタイトルそのまんま、ロックやポップスのアーティストを、アルファベット順に紹介していく、というものです。なんせ、今週は「ダイアー・ストレイツ」でしたが、その前の週は「ディオンヌ・ワーウィック」ですからね。ジャンルも年代もすっかり飛び越えて、ひたすら「A to Z」で貫き通すというシュールなスタンスは、とても潔いものです。その中での岩田さんのコメントは最小限に抑えられ、1時間の番組の中では曲(もちろんフルバージョン)だけが淡々と流れています。
そして、驚いたことに、その番組にはまったくCMが入りません。スポンサーがいないのですね。広告収入で成り立っている民放ラジオでこんなことは信じられませんよ。タイアップが付いているわけでもなく、これで「商売」が成り立つのかと、心配してしまうほどです。
そういう、超カルトな番組の最初に、音楽には全く関係のない岩田さんのコメントが入ることがあります。社会情勢とか、そんなものに対する彼のある種の見解、でしょうか。それが、なんとも不思議なテイストを持っているのですね。微妙に視点をずらしているように見えて、話している内容は大したことがない、という、はっきり言って「幼い」語り口なのですよ。構成している番組とのこの落差は、いったいなんなのでしょう。
そのうち、岩田さんが最近本を出したことを彼の口から聴くことが出来ました。ほぼ1年前に刊行されたものですが、なかなか魅力のあるコンテンツだったので、ライターとしての岩田さんの仕事ぶりを見るのもいいかな、と、買ってみたのがこの本です。
ここで取り上げられているのは、日本の、それこそ「ロック & ポップス」の黎明期にそのシーンを支えて人たちです。日本の場合、その一部は「フォーク」ともカテゴライズされていましたね。1965年にデビューした沢田研二から、1981年にデビューした中森明菜まで、その15人の「ミュージシャン」たちは、30年から40年以上経った現在でも、しっかりその存在が認められている、という人たちばかりです。それぞれ、程度の差こそあれ、岩田さんと何らかの接点のある人で、実際のインタビューを通しての人柄などが語られ、それをまとめて読むことによって、そのような人たちがなぜ今日まで確固たる音楽活動を続けられたか、ということが理解できるような構成になっています。
そして、そこから著者は、もはやそのような「ミュージシャン」は出てくるのがきわめて難しくなってしまった今の音楽シーンのあり方を嘆く、という、なんとも陳腐な結論を導き出すことになるのです。ここで語られているのが、ほとんどが芸能週刊誌的なゴシップにとどまっている、というのが、そんな底の浅いものになってしまった最大の要因なのでしょう。たとえば、竹内まりやの結婚についての詳細な「事実」は、こんなに大々的に語る意味など全くないように感じられますし、ひいてはそれが結婚相手の山下達郎のコーナーで見られるあからさまな「嫌味」につながっているのですから、不快そのものです。おそらく、このあたりが、ラジオで「幼い」と感じられた著者の資質の表れだったのでしょうね。
まあ、中には中島みゆきのように、「知ってためになる」情報もあるにはありましたがね。

Book Artwork © Wayts
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by jurassic_oyaji | 2010-09-13 20:21 | 書籍 | Comments(0)