おやぢの部屋2
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MAHLER/Symphonie No.2
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Anne Schwanewilms(Sop)
Lioba Braun(Alt)
Jonathan Nott/
Chor der Bamberger Symphoniker
Bamberger Symphoniker
TUDOR/7158(hybrid SACD)




ノットとバンベルク交響楽団とのマーラー・ツィクルスは、5番に始まって1番、4番、9番の順にリリースされ、今回の2番が第5弾となります。一山超えた、というところでしょうか。4番で声楽が入っていましたが、合唱が入るのはこれが初めてのことですね。歌っているのは、このオーケストラとの日常的な共演団体、創設以来ロルフ・ベックが指揮をしているバンベルク交響楽団合唱団です。ソリストは、2007年のザクセン州立歌劇場の引っ越し公演で来日、素晴らしいマリー・テレーズを歌ってくれたシュヴァンネヴィルムスのソプラノと、1994年にバイロイトでブランゲーネを歌ったというベテラン、ブラウンのアルトです。
いつもながらの、時折ハッとさせられるようなフレーズを気づかされてくれるノットの指揮は、ここでも絶好調でした。起伏に富んだ第1楽章などは、迫力たっぷりの攻撃的な部分と、夢見るようにソフトな部分とでは、まるで別のオーケストラが演奏しているのでは、と思われるほどの、徹底したキャラクターの変化を演じ分けています。その落差の大きさはまさにショッキング、そのたびに聴くものはこの先の音楽の行方を確かめるために、改めて集中力をチャージするという作業を強いられることになります。これほど刺激的なのに楽しい体験はなかなかあるものではありません。いつの間にか「聴かせ上手」のノットの手の内に、まんまと乗せられてしまっているということになっています。
第4楽章になってアルト・ソロが登場すると、その音楽の雄弁さはさらにワンランク上がります。「O Röschen rot!」という歌い出しのなんと決然としていることでしょう。ブラウンは、その勢いをさらにドラマティックなものへとテンションを上げていきます。その歌い方は、おそらくここでは求められているはずの「リート」ではなく、完全に「オペラ」の世界、確かにそこには、まるで「物語」のようなストーリーを感じさせる情景が広がっていました。
最後の楽章こそは、「ドラマ」そのものとなります。入れ替わり立ち替わりオーケストラに登場するテーマたちは、ノットによってそれぞれに個性的なキャラクターを与えられて、活躍を始めます。その中には、やがて合唱やソリストによって歌われるテーマも含まれていますが、それはまさにそのための「露払い」といった趣でしょうか。
そして、フルートとピッコロ(すごくうまい!)の長大な掛け合いに導かれて、ア・カペラの合唱の登場です。この合唱も、なかなか充実した響きで魅了してくれます。きっちり「マス」としての役割に徹した安定感が、確かな存在感を誇っています。シュヴァンネヴィルムスの凛とした声も素敵ですね。ここからの15分間は、まさにこれでもかと押し寄せるクライマックスの応酬、そこでのノットのなんとも言えない微妙な「間」によって、決して自分を忘れてはいない、しかしそれだからこそなしうる極上のエクスタシーを存分に味わおうではありませんか。プリウスで初乗り650円(それは「エコタクシー」)。
それを助けるのが、SACDのスペックのとてつもないダイナミック・レンジです。まさに「生」そっくりと感じられるほどにどこまで行っても全く破綻のないクレッシェンドが自宅で味わえるのですから、すごいものです。こんなすごい録音なのですから、このチームによる「8番」はどれほどのものを聴かせてくれるのか、今からとても楽しみです。
試しに、手元にあった1983年に録音された16ビットPCMによるマゼールとウィーン・フィルのCDを聴いてみたら、クライマックスではことごとくフェーダーが操作されているのが分かってしまいました。弦楽器の粒立ちも、まるでおもちゃの楽器を聴いているよう、今にして思えば、この当時のデジタル録音なんて、とてもアナログ録音に太刀打ちできるものではなかったのですね。

SACD Artwork © Tudor Recording AG
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by jurassic_oyaji | 2010-09-15 19:31 | オーケストラ | Comments(0)