おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
New Century Flute Concertos
c0039487_1956325.jpg

Raffaele Trevisani(Fl)
Piet Koornhof(Vn)
Roberto Duarte, Constantine Orbelian/
Moscow Chamber Orchestra
DELOS/DE 3399




「ゴールウェイの弟子」というキャッチフレーズで活躍しているイタリアのフルーティスト、ラファエレ・トレヴィザーニは、「現代」の作曲家に新しい作品を委嘱するという献身的な活動を続けています。ピアノやヴァイオリンに比べたら決して数が多いわけではないフルートのレパートリーの裾野を広げるとても貴重な行いなのではないでしょうか。そんな中から、今世紀に入ってから作られた協奏曲を4曲収録したCDがリリースされました。もちろん、すべてトレヴィザーニによって初演が行われたもので、このCDが「世界初録音」となるものばかりです。
彼は、これまでにも多くの協奏曲を録音してきましたが、その時にバックを務めていたのがモスクワ室内管弦楽団です。今回も、彼らと一緒に録音するためにソリストはロシアへ向かいました。録音会場は有名なモスクワ音楽院大ホールです。ただ、録音スタッフまでは同行していないため、エンジニアなどは現地調達、ですから、同じレーベルでもこの間のバッハとはずいぶん音が違います。よく言えば「渋い」サウンドというところでしょうか。
ここで新作を提供した4人の作曲家は、初めて聞く名前ばかりです。したがって、その日本語表記も、一応こちらにあることはあるのですが、実はこれはいい加減なことにかけては定評のあるサイトなのでとても鵜呑みには出来ません(もっと言えば、ここの音源で長い曲を聴こうとすると、間でトラックが分かれているときにはそこで音が止まってしまうという粗悪サイトです)。間違った読み方をネットで広めてしまうという恥ずかしい真似だけはしたくないので、欧文表記で。
まず、南アフリカに1957年に生まれたHendrik Hofmeyrの、「ヴァイオリンとフルートのための二重協奏曲」です。ヴァイオリンはバッハの時にも共演していたコーンホフです。この4つの中では最も古典的な様相を持った曲で、そこはかとなくプーランクあたりの匂いが感じられる、技巧的な作品です。1楽章には日本風の音階なども登場して楽しませてくれます。二人のソリストのつかず離れずの掛け合いが魅力的、ただ、あまり練習する時間がなかったのでしょうか、最後の楽章の早い三連符のパッセージなどはいかにも雑な仕上がりです。
次は、1968年生まれのイタリア人、Alberto Collaの「フルートと弦楽合奏のための『ロマンツァのように』」という、単一楽章の曲です。まるで雅楽のような高周波のクラスターに乗って登場するフルート・ソロが、息の長い輝かしいフレーズを延々と聴かせてくれます。ただ、バックの弦楽器が、いかにもロシアっぽい泥臭さで迫るため、「癒し」を通り越してなにかとても重苦しい、逆に病気になってしまいそうな音楽になっています。最後のあたりでソロのカデンツァが入りますが、いかにもバッハを模倣したような鈍くささ、どこまで行っても軽やかさとは無縁の曲です。
その次も、やはりイタリア人、1959年生まれのCarlo Galanteの作品。「フルートと弦楽合奏のための『アリエルの嘆き』」というタイトルは、シェークスピアの「テンペスト」からとられたものだそうです。これは、あたかも出来の悪いペルトといった趣の曲ですね。やはりバックの弦楽器の鈍さが、その退屈さに拍車をかけています。
と、はっきり言ってつまらない曲ばかり続いてげんなりしかけたところで、最後はブラジルのErnani Aguiarという1950年生まれの人が作った「ピッコロと弦楽合奏のためのコンチェルティーノ」です。これは、もうラテンリズム満載の、キャッチーで楽しい曲です。3つあるうちの最後の楽章は「ショーロ」と題されていて、まさに踊り出したくなるほど、せっかくだから、花に水をかけましょう(それは「ジョーロ」)。ただ、トレヴィザーニはピッコロがヘタ。音程は悪いし指はまわらないし、せっかくの軽やかなラテンがこれでは台無しです。

CD Artwork © Delos Productions, Inc.
[PR]
by jurassic_oyaji | 2010-09-21 19:58 | フルート | Comments(0)