おやぢの部屋2
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BRAHMS/Symphony 4
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John Eliot Gardiner/
The Monteverdi Choir
Orchestre Révolutionnaire et Romantique
SOLI DEO GLORIA/SDG 705




ガーディナーのブラームス・ツィクルスの最後となる、交響曲第4番を中心としたアルバムです。第3番の時と同じように、交響曲に関連した合唱曲を同時に演奏したコンサートのライブ録音という形態をとっています。
その合唱曲が、これまでのブラームス近辺のロマン派の作曲家の作品からもう少し時代をさかのぼった、18世紀のバッハとか、さらには17世紀のシュッツ、ガブリエリあたりにまで拡大されているのも、興味深いところです。もちろん、これはこの交響曲がそのようなバロック時代の語法をかなり取り入れているからに、他なりません。特に、フィナーレの骨格をなす「シャコンヌ」という様式は、まさにそんな時代の産物ですからね。ここで演奏されているバッハのカンタータBWV150では、それと殆ど同じコード進行を持つシャコンヌが現れます。ブラームスの場合は(固定ドで)「ラ・シ・ド・レ・レ♯・ミ・ミ↓・ラ」というテーマなのに対して、バッハは音価はちょっと違いますが「ラ・シ・ド・レ・ミ・ミ↓・ラ」というベースラインなのですからね。
もう一つ、オーケストラ曲でもガーディナー自身がこの交響曲との類似点があると指摘している、ベートーヴェンの「コリオラン序曲」が、最初に演奏されています。農家の婚活がテーマの曲ですね(それは「ヨメオラン」)。確かに、この曲の冒頭の「ジャーッ、ジャン」というモチーフは、ブラームスのシャコンヌのテーマに続いてすぐ出てくる第1変奏に良く似ていますね(ちなみに、このベートーヴェンのモチーフは、そのあとにゲネラル・パウゼがあるので、コンサートホールでの残響の必要性を説明する時に「ベートーヴェンは残響を計算して、この曲を作った」と語られたりします)。
その「コリオラン」は、とても颯爽とした、疾走感あふれる仕上がりになっています。そのように感じられるのは、フレーズの終わりなどにありがちな「タメ」が全くないばかりか、時にはテンポの流れを追い越すほどの機敏なビートで突き進んでいるからなのでしょう。ちょっと前までは考えられなかったようなベートーヴェンへのアプローチですね。でも、これをやっておくと、甘美な第2主題が、なにもしなくてもとっても美しく聞こえてきます。
続いて、合唱のコーナーです。ジョヴァンニ・ガブリエリの12声のミサなどは、オーケストラの金管セクションも加わって華やかに演奏されていますが、これはベートーヴェンとは逆の意味で「ありがち」なスタイルからは距離を置いているように感じられます。シュッツも同じことなのですが、歌い方がかなり「熱い」のですね。バッハではオブリガートのファゴットの、なんとロマンティックなことでしょう。ライナーの中のガーディナーのインタビューでは、これらの曲はブラームス自身によって演奏されたこともあったという「史実」が語られています。もしかしたら、これらはそんなブラームスの時代の様式を踏まえた演奏だったのかもしれませんね。
それだけの周到な準備の末に演奏された交響曲第4番は、すこぶるチャーミングな味を出していました。基本的にかなり速めの小気味よいテンポ設定が、重厚さとはまるで無縁の世界を形作ります。第1楽章の「C」あたりで見られるタンゴのようなリズムは粋そのもの、第2楽章では管楽器が紡ぎ出す綾が素敵です。第3楽章などは、あまりの速さに管楽器がついていけないことから、ちょっとユーモラスな気分さえ醸し出しています。そして、フィナーレのシャコンヌは、まさに深刻さが一掃された変奏の妙を味わうことが出来ます。第12変奏のフルートの長大なソロは、そんな流れの中で気負いの抜けたユルさを見せていましたね。低音がまるでオーボエのように響く、「ピリオド楽器」なのでしょうか。

CD Artwork © Monteverdi Productions Ltd
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by jurassic_oyaji | 2010-10-11 20:37 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by うじゃじゃ at 2010-10-12 23:50 x
いつも拝見しております。
当該CDですが、先日訪れたHMV池袋メトロポリタン店で流れてました。最初誰の演奏かわからず正直セカセカした落ち着きのない演奏(特に速すぎてオケが付いてきてこれない&内声部がはっきりしない)でレジにきて初めて誰の演奏家認識しました。
ゆっくり聴けば印象が変わるのかな?
Commented by jurassic_oyaji at 2010-10-13 08:34
うじゃうじゃさん、コメントありがとうございます。
先入観なしに聴くと、かなり戸惑うかもしれませんね。
これからも、よろしくお願いします。