おやぢの部屋2
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Musica Sacra Hungarica
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Éva Kollár/
Budapesti Monteverdi Kórus
CARUS/2.151/99




CARUSというレーベルは、同名のシュトゥットガルトの楽譜出版社が、自社の楽譜を使って演奏されたものをリリースしているという、面白いところです。かつては同じシュトゥットガルトのHÄNSSLERも、似たようなことをやっていましたが、今はどうなのでしょうね。ここは、モーツァルトのレヴィン版の「レクイエム」を出版していたところだったのですが、今ではそれがCARUSから出ているそうですから、もはや出版業からは手を引いたのでしょうか。
CARUSの楽譜の音源としてのCDという位置づけは、今回のアルバムでは究極の形になったかに見えます(べつに、9曲しか入っていないわけではありません)。なにしろ、楽譜とCDの品番が全く同じなのですからね。これは、今までのCDとは品番の付け方が違っていたので、もしやと思ってサイトを調べたらそうだったことが分かりました。ただ、スラッシュ以降が、楽譜では「00」、CDでは「99」となってはいますが。
楽譜の方は、ハンガリーのごく最近まで活躍していた(いや、一人だけご存命ですが)作曲家の宗教曲を全部で39曲集めたアンソロジーとなっていますが、CDではそのうちの22曲が収録されています。その中で、最も有名な作曲家はコダーイでしょう。彼の名曲「Esti dal」は、楽譜の巻頭を飾っています。CDでは、最後から一つ前、いろいろ聴いてきて、やっぱりコダーイは落ち着くなぁという感慨に浸ることが出来ることでしょう。
コダーイ以外には、合唱関係者にはなじみがあるものの、普通のクラシック・ファンにとっては聴いたことのない人が並んでいますが、別に名前を知らなくても、それぞれに楽しめる曲ばかりなので、ご安心ください。「宗教曲」というくくりがあるために、どれをとっても心が安らぐものばかりです。ほとんどが3分足らずの曲、長くてもせいぜい6分ですから、飽きることもありません。
そんな中で、コダーイの一世代ぐらい後にあたるラヨシュ・バールドシュという人の作った「Libera me」という、彼の「死者のためにミサ」の最後の曲が、なかなか劇的で聴きごたえのあるものでした。このバールドシュの曲は他にもいくつか収められているのですが、もっと平穏なテイストの曲もあり、なかなか起伏に富んだ作風を示しています。この人の弟のジェルジ・デアーク・バールドシュという人の作品も、なかなかとんがっています。
おそらく、コダーイに次いで有名な、この中では一番若い1947年生まれのジェルジ・オルバーンも、手堅いところを見せています。これさえあれば、合唱団のレパートリー選びに困ることはないでしょう。ただ、ここで歌っている合唱団は、必ずしも洗練されたものではありません。
しかし、そんな内容をうんぬんする前に、このCDはとても商品とは言えないようなひどい音であることは、しっかり指摘しておく必要があります。そう、あの「暮しの手帖」ではありませんが、お金を出して聴く以上、その音は最低限の水準を満たしている必要があるというのは自明の理です。このCDの場合、最初からなんともヌケの悪い素人っぽい音のように聴こえます。録音スタッフは、ハンガリーの人のようですね。だからというわけではありませんが、今まで聴いてきたこのレーベルの音とは、えらくかけ離れた感じです。さらに、真ん中あたりのトラックではついに、レベル設定を間違えたとしか思えないような録音時のひずみがもろに聴こえてくるのですよ。別にライブの「一発録り」ではなく、教会を使ったセッション録音なのですから、プロがこんな初歩的な間違いを犯すなんて、信じられません。というか、これは明らかな欠陥商品、そんなことも気づかずに出荷するという、このレーベルの品質管理とは、いったいどういうものだったのでしょう。「暮しの手帖」のような消費者の立場からの「良心的」な評価を下せば、これはまぎれもない「お買い損」のCDです。

CD Artwork © Carus-Verlag
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by jurassic_oyaji | 2010-11-01 20:25 | 合唱 | Comments(0)