おやぢの部屋2
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BERLIOZ/Symphonie Fantastique
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François-Xavier Roth/
Les Siècles
ACTES SUD/ASM 02




1971年生まれのフランスの指揮者、フランソワ=グザビエ・ロトが、2003年にフランスの若いピリオド楽器奏者を集めて作ったオーケストラ、「レ・シエクル」のライブ録音です。この名前、「シエクル
siècle」というのはフランス語で「世紀」のこと、このように定冠詞のついた複数形は「後世」というような意味があります。決して、オケの収入だけでは生活できないので、実家から援助(それは「シオクリ」)してもらっているから付けられたのではありません。
指揮者もオーケストラも、最新の「音友ムック」のようなものには名前が載っていない一見マイナーな存在ですが、このチームは「ラ・フォル・ジュルネ」の常連として一部のファンにはすでにお馴染みのものです。それを聴いた人たちの評判もなかなかのものがあるので、期待しても構わないでしょう。なにしろ、これは、ベルリオーズの生地ラ・コート・サン・タンドレで行われている「ベルリオーズ音楽祭」で、指揮者もオケもフランス人(いや、メンバーの中には「コバヤシ・タミコ」さんのような日本人もいますが)のピリオド楽器の団体が演奏した「幻想」の記録なのですから、それだけでもそそられますし。
最近は、「ライブ録音」とは言っても、そのクオリティはセッション録音とほとんど変わらないものとなっています。このCDでも、使われているマイクなどの機材(録音は「ピラミックス」)がきちんと掲載されていますから、なおさらその音に対する自信が感じられます。しかし、最初からいきなりものすごいホール・ノイズが聞こえてきたのには、ちょっとたじろいでしまいます。録音されたのは2009年の8月、空調の音がもろに入ってしまったのでしょうか。このモーター音のようなものは、最後まで続いていました。
機材を吟味した割りには、楽器のバランスが悪いのも、ちょっと気になります。木管セクションだけがはっきり聞こえてきて、弦楽器や金管がちょっと物足りないのですね。しかも、木管の中でも、肝心のピッコロだけがなぜか殆ど聞こえてきません。この曲でピッコロが聞こえてこないことには、魅力も半減です。それと、これは絶対に聞こえて欲しい第4楽章のマーチでのトロンボーンのペダルトーンも、全然聞こえてきません。いったい、どんなマイクアレンジで録音したのでしょうかね。とてもプロの仕事とは思えないこのもっさりとした音は、それだけでこの「商品」の価値を著しく損ねています。
そんな音で聴いたからなのでしょうか、演奏の方も、なにか物足りません。確かに、いろいろアイディアを出しているのは分かります。第1楽章の提示部の繰り返しも、1回目よりはよりハイテンションなものになっていますし、3楽章のコール・アングレと対話するバンダのオーボエも、サロネン盤みたいに次第に遠ざかっているように聞こえないこともありません。しかし、そんな小技を弄するだけで、全体的な音楽は、なにかを表現しようという意識が全く感じられないような、とてもつまらないものに思えてしまいます。それは、とても上品で当たり障りのないもの、もしかしたらそれを「エレガント」で「粋な」演奏とみなして評価されることがあるのかもしれませんが、この曲の場合はもっとハチャメチャなところがないことには、全く面白くありません。そうでなければ、せっかくピリオド楽器を「再発見して修復」(ライナーでのロトの言葉)した意味が無くなってしまうのではないでしょうかねぇ。
そのライナーでロトが最初に挙げている「鐘」にしても、この間のインマゼールがピアノで示してくれた衝撃的な音を聴いてしまうと、なんとも間抜けなものにしか聞こえません。そして、致命的なのがフルートの音程の悪さ。「楽器」のせいにしないで正しい音程を出せるように精進している人は、フランスではまだ少ないのでしょうか。

CD Artwork © Actes Sud
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by jurassic_oyaji | 2010-11-08 00:05 | オーケストラ | Comments(0)