おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
RIES/Works for Flute and Piano
c0039487_20383651.jpg



Uwe Grodd(Fl)
Matteo Napoli(Pf)
NAXOS/8.572038




なんだかんだ言っても、他のレーベルではまず取り上げることのないマイナーな作曲家のマイナーな作品をこまめにリリースしてくれるのですから、このNAXOSというレーベルは捨てがたいものがあります。なんたって、毎月コンスタントに何十枚と新譜が出るのですからねぇ。でも、CD屋さんは大変でしょうね。今時のクラシックのスペースが少ないお店なんかだったら、これだけでクラシックの棚がいっぱいになってしまいますね。
フェルディナント・リースという超マイナーな作曲家のフルートがらみのアルバムも、ここで取り上げるのは2枚目となりました。前回はアンサンブルでしたが、これはピアノ伴奏の独奏曲、演奏しているのは、このレーベルの常連、以前シューベルトをご紹介したグロットとナポリのチームです。
演奏曲目は、ソナタが2つ、それに「序奏とポロネーズ」という小品と「ポルトガルの聖歌による変奏曲」という、全4曲のラインナップです。ソナタは、それぞれ3楽章形式、「ソナタ・センチメンタル」というタイトルが付いた作品169では、アレグロ、アダージョ、ロンド・アレグロという表記になっています。ベートーヴェンの同時代の作曲としての様式感を持ったものですが、曲想自体はもっと軽やかなサロン風のテイストを持っています。構えることなく、すんなり入って行ける愉悦感がありますから、楽しめます。中でも、真ん中の楽章の抒情性は心を惹かれます。ピアノはフルートの伴奏というよりは、同等、あるいはより高い比重を担っているように感じられます。やはり、ピアニストとしてのリースの面目躍如、といったところなのでしょう。
もう一つの作品87のソナタは、アレグロ、ラルゲット(これは「楽章」というよりは、「つなぎ」といった感じの短いもの)、そして最後の楽章は変奏曲になっています。恥かしくなるほど平易な(というか、拙い)変奏曲のテーマを、技巧をこらして様々な形に仕上げるという、この時代の一つのファッションの典型です。そういえば、「ポロネーズ」というのも、当時はよく使われたモチーフでした。
最後に入っている変奏曲のテーマは「ポルトガルの聖歌」というものですが、これは聴けばすぐ「あの曲か」と分かる、非常に有名なものでした。それは、「♪神の御子は~」という歌い出しで始まる、あのクリスマス用の賛美歌だったのです。思いがけず、間近に迫った(?)クリスマスの気分に浸れた、幸せな時間でした。意図せぬクリスマス・アルバム、おそらく、この時期に発売を決めた担当者も、こんなことには気付かなかったことでしょう。玄関にでもぶら下げておきましょうね(それは「クリスマス・リース」)。
「ポロネーズ」にしても、「聖歌」にしても、変奏は至極型どおりのもので、それほど高度の技巧が要求されるものではありません。その分、フルートのグロットはいとも伸びやかな、というよりは「ユルい」演奏で和ませてくれています。もちろん、先日のシューベルトを聴いた時点ですでに分かっていたことですが、普通に「難しい」ところはもはやコントロールがままならなくなっているのが、ちょっとかわいそう。音はとても美しいのですが、まあ、年相応の崩れ方を、この人も体験しているところなのでしょう。
それをカバーして余りあるのが、ピアノのナポリです。いつもながらの柔らかい音色で、きっちりこのフルートを支えています。もともと「ソナタ」などは「フルートのオブリガートが付いたピアノソナタ」といった趣のあるものですから、充分にこの作曲家の魅力が伝わるものに仕上がっています。特に作品169のアダージョ楽章などでは、ピアノにこそ高い技術と音楽性が要求されていますから、たとえフルートが甘美に歌っていたとしても、ついピアノ・パートの方に耳が行ってしまいます。もちろん、ピアノがソロをとったりすれば、その胸のすくようなフレーズには虜になってしまうことでしょう。

CD Artwork © Naxos Rights International Ltd.
[PR]
by jurassic_oyaji | 2010-11-15 20:40 | フルート | Comments(0)