おやぢの部屋2
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Flute Fantasies・Flute Trios
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János Bálint, Imre Kovács(Fl)
Budapest Strings
Eckart Haupt(Fl)
Arkadi Zenziper(Pf), Götz Teutsch(Vc)
CAPRICCIO/C7052




つぶれたとかつぶれないとかいろいろあったようですが、このレーベルはまたコンスタントに新譜を出せるようになったようですね。その案内を見てみたら、新録音に混じって、なんだかちょっと前のアイテムが2枚組になって、1枚の価格で出ているものを見つけたので、フルートのものを買ってみました。確か、どちらも持ってなかったはずなので、無駄になることはありません。
現物を手にしてみると、確かに外箱は新しく印刷されたものですが、CD自体はリイシューではなく、おそらく倉庫に眠っていた売れ残り品をそのままそのケースに入れただけ、という、いわば在庫一掃の抱き合わせでした。まあいいんです。こんなことでもしないことには、産業廃棄物として処分されてしまいますから、かわいそう。つまり、こんな過剰在庫を抱えることもない、というのが、ネット配信の強みなのでしょうがね。ファイルを1個用意するだけで済むのですから、商売的にはパッケージに勝ち目はありません。
中に入っていたのは、1991年に録音され、1993年にリリースされた、ドレスデン・シュターツカペレの首席奏者エッカルト・ハウプトが中心になったトリオ(10 398)と、1996年に録音され1999年にリリースされた、ハンガリーの中堅ヤーノシュ・バーリントのソロアルバム(10 831)です。
まず、バーリントの方。伴奏はピアノではなく、弦楽合奏に編曲されたものです。この方の演奏は、以前ドヴォルジャークなどを聴いていました。その時にはピアノ伴奏のコチシュの個性があまりにも強すぎて(録音も、ピアノばかりが強調されていました)なんとも地味なフルーティストだな、という印象があったものですから、ボルヌの「カルメン幻想曲」や、ブリチャルディの「ヴェニスの謝肉祭」といった、それこそあのゴールウェイが胸のすくような輝かしい録音をのこしているレパートリーを取り上げているのを見て「大丈夫かな?」と思ってしまいました。
確かに、その「カルメン幻想曲」は、かつてのイメージを裏切らないものでした。細かい音符もていねいに吹いていて、演奏上の破綻は全くないものの、ビブラートがおとなしいせいか、なにか「華」に欠けるものがあるのですね。その代わり、バックのストリングスは高音がどぎつくいかにも派手、これは良くあるBGM向けの音源なのではないかと思ってしまいました。あまりアトラクティブな演奏だと、真面目に聴こうとする人が出てきたりしますから、そういう用途には向かないだろうな、と。
しかし、そんなコンセプトだろうと納得しかけて、残りの曲は流しにかかった頃、聞こえてきた「ヴェニスの謝肉祭」が、BGMにはあるまじきインパクトを持った演奏だったのには、それこそ「期待」を裏切られた思いでした。それは、いったい何が起こったのかと思いたくなるようなアグレッシブさを持つものだったのです。フレージングの潔さなどは、まるで見違えるよう。さらに、この難曲にはメロディと伴奏を一人で吹き分けるという技法があちこちに出てくるのですが、その伴奏部分で音色を瞬時に切り替えるのはまさに神業、ここだけとってみればゴールウェイを超えているかも。新たにコヴァーチュという人が加わったドップラーの2本のフルートのための作品も、素晴らしい出来でした。過去の印象による憶測や、一部を聴いただけの評価は大変危険なこと、丸ごと味わってこその掘り出し物でした。
一方のハウプトは、フンメル、ハイドン、ジロヴェツ、ウェーバーというフルート、チェロ、ピアノのための三重奏の定番、いずれもハイテンションのアプローチで、これらの作品の良さを再確認です。もちろん、ハウプトの渋い音色も、存分に堪能できました。まだ買ってない人にとっては、かつてないほどのお買い得。

CD Artwork © Capriccio GmbH
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by jurassic_oyaji | 2010-11-17 19:59 | フルート | Comments(0)