おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
PENDERECKI/Credo, Cantata
c0039487_2351599.jpg

Soloists
Antoni Wit/
Warsaw Boy's Choir
Warsaw Philharmonic Choir and Orchestra
NAXOS/8.572032




ペンデレツキの「クレド」は、ヘルムート・リリンクの委嘱によって作られました。世界初演はもちろん、リリンクの指揮により、1998年7月11日にオレゴン州で行われています。そのときの録音がこれ(HÄNSSLER/CD 98.311)。
c0039487_1550342.jpg

その1年後、ヴラティスラヴィア・カンタンス音楽祭でのポーランド初演の際の録音も、CDになっていました(CD ACCORD/DICA 34002)。
c0039487_2318822.jpg

この時の指揮者はカジミエシュ・コルトでしたが、今回のNAXOSによる2008年の録音は、指揮がヴィットになった他は合唱および合唱指揮、そしてオーケストラも全く同じという陣容です。ソリストはみんな別の人ですがね。これだけ規模の大きい「現代曲」を、10年も経っていないのに再録音をするというのは、ポーランドでのペンデレツキの人気は計り知れないものがあることの証なのでしょうか。世界的な規模ではもはやほとんど顧みられなくなってしまった作曲家でも、母国ではいまだにスーパースターとしてあがめられているに違いありません。
5人のソリストに児童合唱と混声合唱、そして打楽器などがてんこ盛りの大編成のオーケストラという大盤振る舞いに加えて、作品の「尺」も「クレド」だけで50分弱というのですから、これは異様な長さです。なんたって、あの長大なバッハの「ロ短調ミサ」でさえ、その部分は30分ぐらいしかないのですからね。実は、これにはわけがあります。ペンデレツキは、通常のミサのテキストの他に、8箇所にわたって詩篇などからのテキストを加えていたのですね。いえ、別に「水増し」とか「抱き合わせ」などというつもりはありませんよ。きっと、通常文だけでは語り尽くせない強い思いが、この作曲家にはあったのでしょう。
もう一つ、長くなってしまった理由には、声楽の入らないオーケストラだけの部分にかなりの時間を割いていることが挙げられます。そこでは、例えばオーボエやトロンボーンが、切々と歌い上げる哀愁に満ちたフレーズに、人は涙することでしょう。
全体は5つの部分に分かれていますが、その4番目、「Et resurrexit tertia die 主は三日目によみがえり給うた」という復活の場面からは、音楽はさらに輝きを増してきます。まるでヴェルディの「レクイエム」を思わせるような派手なオーケストレーションと合唱の叫び、これには誰しも心地よい高揚感を抱かずにはいられないはずです。次の部分、「Et in Spiritum Sanctum 我は精霊を信ずる」では、中程に、この前の作品「イェルサレムの7つの門」でも使われていた、作曲家自身の考案になる新しい楽器「チューバフォン」が大々的にフィーチャーされていますから、いやが上にもテンションは上がります。束ねた太い塩ビ管の断面をスリッパで叩いて音を出すというだけの「楽器」ですが、その野性的な響きは確かなインパクトを与えてくれます。最後に、彼の大好きなニ長調の美しい和音が鳴り響けば、その余韻に浸れる幸福感を噛みしめることでしょう。
ヴィットが着々と進めているこのレーベルでのペンデレツキ全集では、カップリングの味わいを楽しむことが出来ます。イチゴ味とか(それは「カッププリン」)。異なる作曲年代、つまり、作曲様式を並べることによって、この作曲家の本質を明らかにしようという試みですね。このアルバムでは、1964年に作られた「カンタータ」が収録されています。ラテン語によるフルタイトルは「母校ヤゲロニカ大学を讃えるカンタータ」というもの、その大学の創立600周年(!)を祝って作られたものです。今まで聴いたことのなかった珍しい作品ですが、この時代ですからとことん攻撃的な仕上がりを見せています。正直、お祝いの曲としては引いてしまうような「おっかない」手法が満載、作品の持つ高い志は「クレド」の及ぶところではない、と思わせるのが、おそらくヴィットの魂胆だったのでしょう。
ちなみに、ライナーではこの曲はオーケストラだけのような表記になっていますが、もちろん合唱は入っていますよ。

CD Artwork ©c Naxos Rights International Ltd.
[PR]
by jurassic_oyaji | 2010-11-21 23:18 | 現代音楽 | Comments(0)