おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
VERDI/Messa da Requiem
c0039487_19571930.jpg

Barbara Frittoli(Sop), Olga Borodina(MS)
Mario Zeffiri(Ten), Ildar Abdrazakov(Bas)
Riccardo Muti/
Chicago Symphony Orchestra and Chorus
CSO・RESOUND/CSOR 901 1008(hybrid SACD)




アメリカの名門オーケストラ、シカゴ交響楽団の歴代音楽監督は、それぞれレーベルとの間に、密接な関係がありました。1953年から1962年までその任にあって、レコード界に最初の黄金時代を築いたフリッツ・ライナーの時はRCA、さらに、1969年から1991年まで、20年以上音楽監督を務めたゲオルク・ショルティの時代には、DECCAに多くの録音を行い、さらなる黄金時代を迎えました。そして、1991年にそのあとを継いだダニエル・バレンボイムはWARNER系と、それぞれにメジャー・レーベルとの良好な関係を維持していたように見えます。しかし、2006年にバレンボイムがその地位を去る頃には、世の中のレコーディング事情は大きな変化を迎えることになりました。そんな、かつては市場を賑わしていたメジャーたちは、こぞってクラシックの録音からは手を引いていったのです。特に、コストのかかるオーケストラなどは、真っ先に「仕分け」の対象になってしまいます。
大手レーベルを通じてレコード(CD or SACD)を市場に送り出すすべを失ったオーケストラは、自らの手でレコードを製作する道をとることになります。そこで誕生したのが、オーケストラの自主レーベルです。ほかのオーケストラにおくれをとったシカゴ交響楽団も、2007年に「CSO・RESOUND」という自主レーベルを発足させ、当時の指揮者(音楽監督ではありません)であったベルナルド・ハイティンクによるライブ録音を皮切りに、CDSACDのリリースを始めました(なぜか、ハイブリッドSACDだけではなく、少し安めの価格設定でCDも出しています)。
そして、2010年のシーズンから新たに音楽監督への就任が決まったリッカルド・ムーティが、この自主レーベルに初登場です。就任前の1月に行われたヴェルディの「レクイエム」のコンサートの、もちろんライブ録音です。
オケの自主レーベルの多くは録音の良さを売り物にしていますが、こちらもその例にもれず、かつてのPHILIPSのエンジニアなどをスタッフに迎えて、良質の録音を届けてくれています。たぶん、現場では最初からDSDでの録音を行っているのでしょう。ただ、今回のように大人数の合唱(メンバー表には200人近くの名前が)が入った時には、やはり全体の響きをきっちり収めるのはなかなか難しかったような気がします。オケだけの場合はとても繊細な音が再現出来ているのですが、合唱が入るととたんに音が濁ってくるのですね。ですから、ソリストも加わり全体がフルスロットルの音を出しているところでは、とてもSACDならではの余裕のある音の中に浸るということは出来ずに、なんともストレスの募る体験を強いられることになってしまいます。このあたりが、「ライブ録音」の難しいところなのでしょうね。女には任せられません(それは、「ワイフ録音」)。
ただ、もしきちんとした録音が行われていたとしても、この合唱の演奏自体が、とても精度の低い大味なものであるため、やはりストレスが解消されることはなかったのではないでしょうか。なにしろ、ピアニシモの弦楽器に乗って、とてつもない緊張感をもって歌って欲しい冒頭の「Requiem aeternam」が、なんの抑制もされていないノーテンキなおおざっぱさで聞こえてきたものですから、その時点でこの合唱団のことは完全に見限ってしまいましたからね。
ソリストも、万全のコンディションではなかったのでしょう、特にソプラノのフリットリの深すぎるビブラートは、かなり耳障りなものでした。「Agnus Dei」での、メゾのボロディナとのオクターブ・ユニゾンなどは、したがって、悲惨極まりないものになってしまいました。
ムーティの、なんとも巨匠然としたたたずまいは、なにかとてもよそよそしいものに感じられてしまいます。やはり、彼とアメリカのオーケストラは、あまり相性がよくないのかもしれませんね。

SACD Artwork © Chicago Symphony Orchestra
[PR]
by jurassic_oyaji | 2010-11-27 19:59 | 合唱 | Comments(0)