おやぢの部屋2
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VIVALDI/Les Quatre Saisons
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Gérard Jarry(Vn)
Jean-Francçois Paillard/
Orchestre de Chambre Jean-Francçois Paillard
JVC/JM-XR24001S(XRCD)




日本ビクター(ではなく、実際はビクターなんたらという社名でしょうが)が誇るSHM仕様のXRCDという、現時点のCDの規格の中では最高の音質を期待できるスペックの製品が、大量に安売りの対象になっていました。なんと1枚税込1890円、元の値段の半額ですよ。確か限定盤のような形でリリースされたものですからちょっと複雑な気持ちですが、せっかく安くしてくれるというのですから買わない手はありません。最初に出た時にはその価格でちょっとためらってしまった、かつて日本ビクターが制作したアイテムを、今回はいそいそとお買い上げです。
これが録音されたのは1976年、実際に制作を担当したのは、ミシェル・ガルサン率いるあの「ERATO」レーベルのチームです。最初はインディーズとしてスタートしたERATOですが、やがてRCAの傘下に入り、後にはWARNERへ移籍(?)、結局はそのメジャー・レーベルによって「飼殺し」の憂き目に遭うという末路をたどってしまいましたね。
このレーベルの国内盤は、最初は日本コロムビアが発売していたのですが、RCAの管理下に置かれた時点、おそらく1975年頃に、RCAと提携関係にあった日本ビクター(正確には、RCAと日本ビクターの合弁会社であるRVC)によって扱われるようになります。その関係で、このような企画が実現したのでしょう。
ライナーを読むと、もともとは「4チャンネル」のために録音されたものであることが分かります。1970年代に、今で言うところの「サラウンド」にあたる規格が提案され、それ用のソフトや再生機器が発表されたのですが、結局さまざまな規格が乱立したために殆ど普及せず姿を消した、と言うものです。不朽の規格にはならなかったのですね。日本ビクターが提唱していたのが「CD-4」という、4つのチャンネルをそれぞれ独立して記録する方式でしたが、いわばそのデモンストレーションとして用意されたものが、この録音なのでしょうね。ここで演奏されているヴィヴァルディの「四季」は、実は同じメンバーで1970年にすでにERATOに録音されていましたが、4チャンネルのために敢えて再録音を行ったのでしょう。
そんな「商売」の背景は、30年以上の時間が経過すればすっかり濾過されてしまい、あとにはそこに記録された「音」だけが残ります。久しぶりに聴いたパイヤールの「音」は、予想していたものをはるかに超えるインパクトを誇っていました。
「四季」を初めて世に知らしめたイ・ムジチ同様、パイヤールも当時の「バロック音楽」のスタンスで演奏しています。使われる楽器は当然モダン楽器、ライナーの写真でチェンバロを特定することが出来ますが、それはノイペルトのスピネット・タイプ「ツェンティ」でした。ヒストリカルに迫ろうとはしていても、基本的にはモダン・チェンバロの範疇に入る楽器です。そんなメンバーが演奏する「四季」、しかし、いとも整然と始まったと感じたのは最初だけ、聴き進んでいくと、そこには、ちょっと油断していると思わず足をすくわれそうになる「仕掛け」がいたるところに潜んでいたのです。まるで、「断じてヒーリング・ミュージック(そんな言葉、当時はなかったでしょうが)には終わらせないぞ」と言わんばかりの気概が込められているようでした。それはある意味、現在の主流となったピリオド楽器の人たちの目指しているものとかなり似通ったもののように感じられてしまいます。
そんな印象が伝わってきたのは、美しいのだけれどあちこちに棘のようなものが隠されている弦楽器の音が、とてもリアルに聞こえてきたからなのでしょう。そのような合奏の中では、ノイペルトはまさにアクセントとしての役割をしっかり果たしてくれています。そんなチェンバロともども、録音会場の教会の外を走っている自動車の音までもしっかり捉えた優秀な録音が、XRCDならではの骨太の音で迫ってきます。

XRCD Artwork © Victor Creative Media Co., Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2010-12-15 20:43 | オーケストラ | Comments(0)