おやぢの部屋2
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BACH/Orgelwerke
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Zsigmond Szathmáry(Org)
JVC/JM-XR24002S(XRCD)




先日のパイヤールと一緒に購入した国内制作LPSHM-XRCD化アイテムです。もちろん半額キャンペーン対象商品でした。録音されたのは1978年、オランダ、ズヴォレ聖ミヒャエル教会のシュニットガー・オルガンという、名前を聞くだけでもつい反応してしまう有名な楽器を使って演奏されています。こちらの方はビクターが直に制作、エンジニアにはフリーで活躍していたテイエ・ファン・ギーストという、いろいろなレーベルで(たとえばNAXOSあたり。RCAではゴールウェイの録音を担当していたこともあります)お目にかかれる人を使っています。
LPでリリースされた時には「76cm/sec マスター・サウンド」という仰々しいシリーズの一環としてのお目見えでした。当時のプロ用のテープ・レコーダーの標準速度は38cm/sec1/4インチ幅の磁気テープを2つのトラックに分け、それぞれ左右2チャンネルを振り分けた、いわゆる「ツートラサンパチ」という規格が、マニアがあこがれる最高のスペックだったのです。ちなみに、「アビー・ロード」のように、当時市販されていたオープンリールのソフトは、往復録音再生が出来る「4チャンネル」、速度は半分の19cm/secでした。ですから、この「76cm/sec」というのは、その最高の規格のさらに倍速、デジタル感覚ではサンプリング周波数を倍にするようなもので、とてつもない規格だったのですね。たぶん、今のPCMの最高スペック、24bit/192kHzをしのぐほどの音質だったに違いありません。
ですから、それを、場合によってはSACDよりも良い音が聴けるXRCDにトランスファーしたものは、マスターテープそのものには及ばないまでもLPCDよりは格段にクリアな音が体験できるはずです。楽しみですね。
ジグモンド・サットマリーという、ハンガリー出身の現代曲を得意としているオルガニストが演奏しているのは、まさに「名曲集」でした。「トッカータとフーガニ短調」、「パッサカリアとフーガハ短調」、「小フーガト短調」、「幻想曲とフーガト短調」、そして「シューブラー・コラール」から3曲と、恥かしくなってしまうほどのベタな「名曲」が並んでいます。まあ、音を楽しむことが主たる目的の企画だったのでしょうから、それは仕方がありません。
確かに、「トッカータ~」の最初のパイプの音は、とても澄み切ったものでした。さらに、休符の間に漂っている残響が、得も言われぬ美しさです。これはまぎれもなく、そんなハイスペックでなければなしえない素晴らしい音です。ところが、しだいにストップが増えてフル・オルガンになっていくと、音があまりにもピュア過ぎて、そこからは押し寄せるような迫力が全く感じられないことに気が付きます。そうなんですね。いかに録音機材が優秀であっても、オルガンのような巨大な楽器の全貌を伝えるには、エンジニアの経験とセンスが不可欠になってくるのですよ。このファン・ギーストという人が録音したものは数多く聴いていますが、傾向としては迫力ではなく繊細さで勝負しているようなところがあるのでは、という感想を抱いていました。そういうセンスの人のオルガンですから、やはりちょっと物足りないのは仕方がないのでしょうか。いーすと(いい人)なんでしょうがね。
そして、それに輪をかけて、演奏しているサットマリーの作り出す音楽が退屈なのですね。「トッカータ~」の「フーガ」に出てくるさまざまのストップを駆使して音色の変化を楽しめるところなども、いとも淡白ですし、「幻想曲~」では、やはりフーガでペダルによるテーマが出てくるところが、なんともスカスカのストップ選択なものですから、ちっとも「ファンタジー」が感じられません。
そんな、もしかしたらLPでは気づくことのなかったさまざまの欠点まで露呈してしまうのが、XRCDの底力なのだとしたら、これは恐ろしいことです。パイヤールではそれが良い方に作用していたのでしょうが、ここではそれがかえって災いとなってしまったようです。

XRCD Artwork © Victor Creative Media Co., Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2010-12-19 23:26 | オルガン | Comments(0)