おやぢの部屋2
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GOODBYE YELLOW BRICK ROAD
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Elton John
MERCURY/UIGY-9052(single layer SACD)




SACDCDよりもはるかに良い音を聴かせてくれるのは、別にクラシックに限ったことではありません。ジャズやロックでもそれは同じこと、特にジャズの愛好家などには、未だにLPの音を大切に再生しようと日々努力しているマニアはたくさんいるほど、音にはうるさい人たちが揃っていますから、CDでは物足りない思いをしているはずです。でも、ロックの場合は、あくまで私見ですが、クラシックやジャズほど音にこだわる人はいないような気がします。細かい音にこだわるよりは、大きな音でガンガン鳴らして浸りきる、といった聴き方がメインなのではないでしょうか。
エルトン・ジョンが1973年に録音した2枚組のアルバム、「Goodbye Yellow Brick Road」が、ここで何度かご紹介した日本のユニバーサルからのシングル・レイヤー、SHM仕様というとてつもないハイスペックのSACDとしてリリースされることを聞いた時には、ですから、まあいい音にはなっているのだろうとは思いましたが、それほどの期待をしていたわけではありませんでした。単に、ロックの場合のSACDがどの程度のものなのか、あくまで参考程度に知るために買ってみた、というスタンスですね。昔持っていたLPも、当時好きだった人にあげてしまって、もう手元にはありませんから、改めて聴いてみるのもいいかな、と。
とりあえず、2007年にリリースされたコンピレーションCDMERCURY/172 6850)があったので、そこに4曲収録されていたこのアルバム内の曲と比較でもしてみましょうか。
ところが、その聴き比べの結果は驚くべきものでした。CDと今回のSACDの音は、まるで別物だったのです。どの曲でも、明らかに音の「格」が違うのですよ。SACDは、それぞれのパートの音、楽器もヴォーカルも輝きがワンクラス上にものになっていました。そして、音の質感がとてもリアルです。「Bennie and the Jets」では、最初にSEで拍手が入っていますが、CDではまるで雨の音のようにしか聞こえなかったものが、SACDでは、もっと重心の低い、しっかり一人一人の人間が手を叩いているもののように聞こえます。「Candle in the Wind」では、ピアノの音もヴォーカルもリアリティが増大、さらに、途中から入ってくるコーラスの存在感が、桁外れに大きくなっています。タイトルチューンの「Goodbye Yellow Brick Road」(「黄昏のレンガ路」という邦題は殆ど誤訳でしょう)では、今まではバックに入っていたストリングスは、当時の「ソリーナ」のようなキーボードで入れていたのだと思っていたものが、しっかり「生」のヴァイオリンに聞こえます。そもそも、ヴォーカルがダブルトラックだったことも、ここで初めて気が付いたぐらいですから、今まで聴いてきた音がいかにいい加減だったかが分かります。そして、「Saturday Night's Alright」のような、いかにも音なんかどうでも良さそうなロックンロールのナンバーが、一番違っていたのですから、びっくりです。ギターもドラムスもまるで3Dのように飛び出してくる感じ、音楽のノリさえ、別なものに感じられてしまいます。いやぁ、こんなのを聴いてしまうと、もう普通のCDにはもどれません。
ロックのろっくおん(録音)に対する偏見は、見事に吹っ飛んでしまいました。どのジャンルでも、エンジニアはしっかりとした仕事を残していたのですね。
しかし、これだけきちんとした音で聴いてみると、このアルバムには確かに存在していた暖かな肌触りが、最近の録音ではまるで感じられなくなっていることに気が付かされます。当時の2インチ幅のまるで昆布のような磁気テープを使って行われた16トラックのアナログ録音は、もしかしたら今のPro Toolsのハードディスク・レコーディングよりもはるかに情報量が多かったのかも知れませんね。なんせ、山下達郎も言っていましたが、同じデジタルでも、以前の例えばSONYPCM-3348のような、磁気テープを使ったマルチトラックとPro Toolsのマルチトラックとでは、ミックスした時の音の重なり方がまるで違うのだそうですからね。

SACD Artwork © Mercury Records Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2010-12-23 21:05 | ポップス | Comments(0)