おやぢの部屋2
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VERDI/Requiem
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Margaret Price(Sop), Livia Budai(MS)
Giuseppe Giacomini(Ten), Robert Lloyd(Bas)
Jesús López-Cobos/
London Philharmonic Orchestra and Choir
LPO/LPO-0048




このレーベルのジャケットにはいつも楽しませてもらっていますが、今回の「★さがし」はあまりにもベタだったので拍子抜けしてしまいました。もっと、挑戦意欲を掻き立てられるような高い難易度の仕掛けを施してもらいたいものです。こちらのように。
今回のライブは、新録音ではなくアーカイヴもの、1983年にBBCによって録音された放送音源です。きのうでしたね(それは「クリスマスイヴ」)。ほぼ同じ時期に録音されたやはりBBC音源のテンシュテットのブルックナーがあまりにもひどい音だったので、ちょっと心配だったのですが、とりあえず目立った破綻はないものだったので、一安心です。というより、最初のうちこそなんとも潤いに欠けたカサカサした音が耳ざわりだったものが、聴き進むうちに、演奏のあまりの素晴らしさにそんなことは全く気にならなくなってしまいました。
まず、素晴らしいのが4人のソリストたちです。この曲の場合、ソリストに求められるのは、まさにオペラティックな堂々とした声なのですが、それだけではなく、アンサンブルでもしっかり合わせられるキャラクターを持っていないことには、聴き手を充分に満足させることはできません。ソリストとしての力と同時に、他の人との相性も必要になってくるのですね。この間のムーティ盤でのフリットリがそんな意味でのミスキャスト、完璧な相性を持った4人を集めるのは結構難しいことなのです。
しかし、この録音の時のソリストたちは、完璧にその条件を満たしていました。まずはしょっぱなの「Kyrie」で、それまでの重苦しい雰囲気を一掃してくれたジァコミーニの伸びやかな声には、圧倒されてしまいます。そして、そのあとに続くバスのロイド、ソプラノのプライス、そしてメゾのブダイが、それぞれ全く同じ方向を向いた声を披露してくれた時、この演奏は間違いなく確かな感動を与えてくれるはずだと確信したのです。
そして、その期待は決して裏切られることはなく、この卓越したソリストたちの緊張感あふれる演奏は、最後の「Libera me」で、呻くような超低音で恐ろしいまでの迫力を見せてくれたプライスが歌い終わるまで続くことになるのです。
ロペス・コボスの指揮も、ゆったりとした流れの中で存分に歌手たちの演奏をサポートしています。その上で、オーケストラが作り出すグルーヴを的確にコントロールして、この上なく劇的な場面を表現しているのではないでしょうか。中でも、切れ目なく続く「Dies irae」の中のバラエティに富んだナンバーを、巧みにつなげていく時の場面転換は見事としか言いようがありません。一例として、ここでは、冒頭の「Dies irae」のパートが途中で何度か顔を出すのですが、その最初の部分、メゾのソロの「Liber scriptus」と、ソプラノ、メゾ、テノールの三重唱「Quid sum miser」の間に現れる場面などはどうでしょう。そこに行くまでの伏線として、合唱が執拗に「Dies irae」とつぶやく中を、徐々に盛り上がった音楽は、まるでバリー・ホワイトのようなストリングスに乗って(「愛のテーマ」は絶対にここをパクってます)「Dies irae」の後半を導き出します。そして、それが収まった後に待っているのは、とても美しいファゴット・ソロのオブリガートです。この流れを、ロペス・コボスはまるで映画のようにドラマティックに描き出しているのですよね。
合唱も、技術的にはイマイチの感はぬぐえないものの、要所要所ではなかなか熱いところを見せてくれています。「Sanctus」で二重合唱になるところでは、さらになにか一皮むけたような溌剌とした声があちこちから聴こえてくるというのも、ライブならの盛り上がりのなせる業なのでしょう。
せっかくですから、最後の拍手もしっかり収録して、観客の盛り上がりを確認させてもらいたかったところです。ちょっと早目のカット・アウトが、いかにも不自然。

CD Artwork © London Philharmonic Orchestra Ltd
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by jurassic_oyaji | 2010-12-25 22:48 | 合唱 | Comments(0)