おやぢの部屋2
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VERDI/Requiem
c0039487_1131669.jpgHerva Nelli(Sop), Fedra Barbieri(MS)
Guseppe di Stefano(Ten), Cesare Siepi(Bas)
Arturo Toscanini/
Robert Shaw Chorale
NBC Symphony Orchestra
OPUS KURA/OPK 7040




ネットでオーパス蔵のバーゲンをやっていたので、聴いてみることにしました。この前のベームのモーツァルトがそうであったように、なんと言ってもヴェルディのレクイエムを語る上では欠かすことの出来ないトスカニーニの「名盤」ですくらね。彼のこの曲の録音の中でもベストとされる、1951年、カーネギー・ホールでのNBC交響楽団との演奏です。
レコード盤からの板起こしで定評のあるこのレーベルですが、ここで元になったのは通常のRCA盤ではなく、イギリスのHMVEMI)盤でした。この2つのレーベルは、同じ「ニッパー」のマークを使っていた事でも分かるように、元々は同じ会社で、当時でも原盤を供給し合えるような提携関係にあったのでしょうね。しかし、同じマスターテープでも「アメリカ盤」と「ヨーロッパ盤」とでは、かなり音が違っていたそうなのです。「蔵」では、より「音楽的」だということで、このHMV盤を使用したということです。そういうマニアの世界は、いつの時代にもあるものなのですね。
トスカニーニに関しては、特にマニアというわけではないので、彼の録音の全貌に関して語れるはずもありません。ただ、NBC響との録音に関しては、RCAによるセッション録音と、本来のこのオーケストラの設立目的であるNBCのラジオ番組のための録音があるそうなのです。このヴェルディは放送音源の方、したがって、マイクのセッティングなどはNBCのスタッフによるものなのですが、本番でのテイクとゲネプロのテイクを使って、後にRCAが編集したものが、このレコードのマスターとなっているそうです。今の「ライブ録音」のようなことを、当時でも行っていたのですね。
その録音は、前にXRCDで聴いたRCAの録音とは、やはり全く比べものにならないものでした。ただ、クオリティは低いものの、決して鑑賞に支障があるほどではなく、「こんなものだ」と割り切ってしまえば、そこからは充分にトスカニーニの音楽を感じ取ることが出来るものです。板起こしにしては、スクラッチ・ノイズなどは殆ど聞こえないのにも、ちょっと驚かされます。テープをつなげたところがはっきり分かってしまう雑な編集は、ご愛嬌。
この演奏では、ソリストたちが当時最も脂の乗り切った時期のものですので、それを聴くだけでも素晴らしい体験を味わえます。そのお披露目のような形で4人がそれぞれ現れる「Kyrie」では、その存在感が、こんな貧弱な録音を通してもはっきり伝わってきます。ディ・ステファノの凛とした押し出し、シエピの包容力、バルビエリの深さ、そしてネッリの華麗さと、どれをとっても最近の小粒になってしまった歌手からは味わえないものです。そして、ちょっと意外だったのですが、彼らが朗々と「自己紹介」をしているときに、トスカニーニはきっちりと彼らに合わせてオーケストラに「溜め」を作っているのですね。ベートーヴェンあたりでは、何でもかんでもインテンポで押し切る、という印象が強かっただけに、これは全くの予想外の出来事でした。もちろん、それだけ歌手の息遣いを反映させたヴェルディには、思わず引き込まれてしまうほどのとっておきの魅力が感じられてしまいます。トスカニーニって、こんなにチャーミングだったんですね。そして、その対極にあるのが「Dies irae」で見せているような全く妥協を許さない厳しさなのでしょう。この芸の幅、ベームなどとはそもそも格がちがっていたのですね。
木管楽器がかなり生々しく聴こえてくる独特のバランスによって、フルートがとてもしっかりしているのが分かります。調べてみると、この方はアーサー・ローラという人のようですね。NBC響の初代首席で、この録音当時はニューヨーク・フィルの首席だったジョン・ウンマーの音(バーンスタインの録音などで聴くことが出来ます)よりももっと芯のある、力のこもったフルートでした。

CD Artwork © Opus Kura
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by jurassic_oyaji | 2011-01-16 23:04 | 合唱 | Comments(0)