おやぢの部屋2
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Clémentine/Animentine-plus
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Clémentine
SONY/SICP-2965(dom.)




最近、テレビのCMで「天才バカボン」のテーマがよく聞こえてきますね。三浦友和と榮倉奈々が親子という設定、それぞれほっぺたに「バカボンのうずまき」をつけて、まったりしているという、ノンアルコール飲料のCM、そのバックで、いかにもアンニュイなボサ・ノヴァ風の「バカボン」が流れています。フランス語風に「ボン・ボン・バカボン」と歌っていますから、知らないで聴いたらフランス語の「bon」だと思うかも知れませんね。「ボン・ジュール」の「ボン」だと。「バカボン」にしても、昔越路吹雪が歌っていませんでした?「おいらバカボン」って。確か、「幸福を売る男」というシャンソンを日本語に訳して歌っていたものでしたよね。
いや、越路吹雪の方は、元の歌詞の「Je suis le vagabond」をそのまま「おいらヴァガボンド」と歌っていただけなのですがね。つまり、井上雄彦の「バガボンド」と同じ事、「さすらいもの」みたいな意味なのですよ。今でこそ、この言葉は有名になっていますが、越路吹雪の時代にはまだこのマンガはありませんでしたから、これは絶対「バカボン」にしか聞こえませんでした。
CMで「バカボン」を歌っていたのは、フランスのシンガー、クレモンティーヌでした。トーストにはこれですね(それは「レモンティー」)。実は、このCMとのタイアップなのでしょうか、去年の7月に、日本のアニメの主題歌をカバーした(もちろん、日本の企画でしょう)「アニメンティーヌ」というアルバムが出ていました。サブタイトルに「Bossa du Animé」とあるように、すべて彼女のハスキーな歌声を存分に生かしたボサ・ノヴァにアレンジされたものが収録されていました。これが、結構すごいセールスを記録したようなのですね。そこで、今年の3月には「2」もリリースされることが決まっているそうです。
これは、「plus」とあるように、「1」にボーナス・トラックを追加した期間限定、ということは、「2」までのつなぎのようなアイテムです(「プリュ」と読みたいところですが、メーカーでは「プラス」というありきたりの日本語表記)。ボーナス・トラックの目玉があの「ゲゲゲの鬼太郎」ですから、まだ「旬」のうちに売れるものは売ってしまおうという魂胆なのでしょう。これは「2」にはしっかり入るそうですから、本当はそれまで待っていた方が良いのでしょうがね。
この「鬼太郎」、なんたって、「紅白」でオリジナル・バージョンが披露されるというものすごい「ヒット」になってしまった曲ですね。これを作ったいずみたくは、まさか40年後にこんな晴れがましい扱いを受けるとは、夢にも思っていなかったことでしょうね。減和音と半音階を組み合わせただけの、いかにもおどろおどろしい感じを前面に打ち出した曲、彼にしてみれば、単なる「量産品」のひとつに過ぎなかったのでしょうから。
そんな歌に、フランス語の歌詞が付けられてボサ・ノヴァになったものは、紛れもないフレンチ・ポップスに仕上がっていました。鬼太郎くんは、もはやちゃんちゃんこに下駄ではなく、タキシードにエナメルの靴で登場してくれましたよ。
その他にここで聴けるのは「うる星やつら」、「サザエさん」、「ちびまる子ちゃん」、「ドラえもん」など、世代を超えてテーマ曲とアニメのイメージが結び付いているものばかりです。しかし、それらは「鬼太郎」同様、ヘタをしたら元の曲が思い出せないほどに、見事なまでの変貌を遂げていました。これほどまでに作品としての存在感のない曲だったとは。したがって、当然のことながらここからはアニメを連想させられるような属性は、きれいさっぱり剥奪されています。そういえば、最近の新しい「アニソン」も、アニメを見ていないことにはなんということのないもののように感じられます。

CD Artwork © Sony Music Japan International Inc.
by jurassic_oyaji | 2011-01-18 23:08 | ポップス | Comments(0)