おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem
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Leontyn Price(Sop), Hilde Rössel-Majdan(Alt)
Fritz Wunderlich(Ten), Walter Berry, Eberhard Waechter(Bas)
Herbert von Karajan/
Wiener Singferein
Wiener Philharmoniker
ARCHIPEL/ARPCD 0511




カラヤンが演奏したモーツァルトの「レクイエム」は、DGから公式にリリースされたものが3種類あります。ベルリン・フィルと1961年と1975年、ウィーン・フィルと1986年にそれぞれ録音されたものです。今回のアイテムは、そのいずれでもない、1960年のザルツブルク音楽祭でのウィーン・フィルとの録音です。猿も酔っぱらうんですね(それは「サルツブレル」)。おそらくこれは放送用かなにかの、得体の知れない音源なのでしょうから、かなりひどい録音、もちろんモノラルです。今までに何度も「海賊盤」専門のレーベルから出ていましたが、ごく最近、「新譜」として、聞いたこともないレーベルから発売されました。ただし、ここではカップリングとして、ここでソロを歌っているジャケ写のプライスが、同じ年のザルツブルク音楽祭で歌ったドンナ・アンナのアリアが収録されています。いや、それは中身を見て初めて分かったことで、外側を見ただけでは「レクイエム」しか書かれておらず、しかも演奏時間が70分以上だというので、ちょっとびっくりしてしまいましたよ。あのベームでさえ64分ぐらいだったのに、カラヤンがそれより遅いテンポだったなんて。本当は、「おまけ」を含んだ時間だったんですね。
この年のザルツブルク音楽祭は、今ではこの音楽祭の象徴ともなっている祝祭大劇場が完成したという特別なものでした。そのこけら落としとして上演されたシュヴァルツコプフ主演の「ばらの騎士」は、映像として残っています。その合間に行われたコンサートで演奏されたのが、この「レクイエム」でした。コンサートの後半には、ブルックナーの「テ・デウム」が演奏されています。ちなみに、「ドン・ジョヴァンニ」は、別の小さな劇場で上演されました。
「おまけ」以外にも、このCDには今までとは異なる部分があります。今までリリースされたものには、バスのソリストが「ワルター・ベリー」となっていたのですが、ここではベリーとともに「エーベルハルト・ヴェヒター」の名前が印刷されています。しかも、ブックレットにはそのヴェヒターの写真が掲載されているのですよ。この曲でバス歌手は一人しか必要ありませんから、ベリーとヴェヒターが交代で歌っているのでしょうか。しかし、どう聴いてみてもバスは同じ人のようにしか思えませんし、そもそも素人のおさらい会ではないのですから、途中で人が代わることなどはあり得ません。他の録音でこの二人の声を聴いてみると、どうやらここで歌っているのはヴェヒターのような気がするのですが、どうでしょう。ベリーはもう少し軽めの響きなのでは、とは思えませんか?つまり、今までずっと表記されていたソリストは、実は間違ったものだったのでは、とかね。いくら海賊盤でも、歌ってもいない人の写真を載せたりはしないでしょうし。
それはともかく、ひどい音からでも、演奏自体はしっかり伝わってきます。カラヤンの資質である、流れるような音楽は、ここからも聴き取ることができます。「Kyrie」の二重フーガなどは、あまりにも流麗すぎてちょっと物足りないような気になってしまいます。「Rex tremendae」の付点音符のフレーズも、あまりに滑らかすぎて切迫感が感じられません。面白いのは、「Tuba mirum」のトロンボーンのオブリガートを、2人一緒に吹かせていることです。とても難しいソロなので、奏者、聴衆ともに緊張を強いられるところですが、こんな配慮でいとも安全で穏やかな演奏が生まれました。
ただ、そんなカラヤンの思いを受け取るには、この合唱のスキルはあまりにもお粗末でした。例えばその「Rex tremendae」の後半の「Salva me」というとてもソフトな表現が要求されているところでも、ガサガサの音色と怪しげな音程で、全く指揮者に応えられていないのですからね。
でも、その分、ソリストたちは存分に堪能させてもらいました。なんたって、テノールがヴンダーリッヒですからね。

CD Artwork © Archipel Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2011-01-26 20:39 | 合唱 | Comments(0)