おやぢの部屋2
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Lord/To Notice Such Things
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Jon Lord(Pf)
Cormac Henry(Fl)
Clark Rundell/
Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
AVIE/AV 2190




まるで、沈みかけた船から逃げ出すネズミのように、メジャー・レーベルが相次いでクラシックから手を引いているこのご時世、オーケストラの自主レーベルは、もはやなくてはならないものとなっていますが、このロイヤル・リヴァプール・フィルはかなり早い時期、もう1998年には自主レーベルを立ち上げていたそうです。ただ、流通にはこのAVIEレーベルを通している関係で、ジャケットを見ただけではオケのレーベルとは分からないような感じですね。同じAVIEのディストリビューションでも、サンフランシスコ交響楽団あたりはしっかり自分のレーベルと分かるようになっていますが。ただ、首席指揮者のペトレンコとのショスタコーヴィチ・ツィクルスなどはNAXOSからリリースされていますね。そのあたりの使い分けは、結構したたかなのかも知れません。
ロイヤル・リヴァプール・フィルというと、つい、同じ街出身のポール・マッカートニーが作曲した「リヴァプール・オラトリオ」を初演した団体というイメージがついて回ります。それ以降も、なにかとポップ・ミュージシャンがらみの「クラシック」に縁があるような気には、なりませんか?
今回は、ポールと同じ、イギリスのロックバンド出身のアーティスト、ジョン・ロードの作品、もちろん世界初録音です。ジョン・ロードというのは、殆ど「ヘビメタ」のバンドとして認知されている「ディープ・パープル」の1968年創立時からのキーボード担当のオリジナル・メンバーです。幾度となくメンバーチェンジを繰り返して来たこのバンドの中にあって、2002年に「引退」するまで、一貫してメンバーであり続けました。元々はクラシックの教育をきちんと受けた人で、バンドでも初期の頃は彼が主導権をとってほとんど「プログレ」とも言えるような前衛的な曲を多く提供していました。実際に、シンフォニー・オーケストラと共演したアルバムもありますね。ただ、バンド自体はギターのリッチー・ブラックモアがイニシアティブをとるようになって、より「ヘヴィー」な方向を目指すことになるのですが。
「引退」後、クラシックの世界へ戻ったロードの2枚目となる本作は、嬉しいことにフルートを大々的にフィーチャーしたものとなりました。タイトル曲「To Notice Such Things」は、「ソロ・フルート・ピアノと弦楽オーケストラのための組曲」というサブタイトルを持っていますが、ロード自身が演奏しているピアノは殆ど目立たず、実質的には6つの楽章から成る「フルート協奏曲」です。それぞれの楽章は、叙情的な風景が広がったかと思うと、そのあとには快活なダンスが現れる、といった、非常に分かりやすいキャラクターを持っていて、とても楽しめます。ソロ・フルートのパッセージも、最も美しく歌えるカンタービレや、目の覚めるような技巧の丈を存分に披露できるような、まさにこの楽器のことを知り尽くした書法が感じられるものです。和声も、ベタにロマンティック、ということはなく、適度に現代的な要素も加味されていて、退屈させられることは決してありません。
ソリストのコーマック・ヘンリーという、スパイスみたいな名前(それは「マコーミック」)の人は、2002年からこのオーケストラの首席奏者を務めている、アイルランド出身のフルーティストです。彼は、ロンドン交響楽団やアムステルダム・コンセルトヘボウなどの名門オケでも、ゲストに呼ばれてトップを吹くほどのキャリアを持っていますが、その、とても伸びのあるしなやかな音色と、的確な歌い方を聴いていると、そんな引っ張りだこぶりが納得させられます。
この曲以外にも、「Air on the Blue Strings」などで、彼のソロを聴くことが出来ます。そんな素晴らしいプレーヤーを得て、ロードの作品は、頭でっかちの「現代作曲家」からは絶対に得ることの出来ない、「クラシック音楽の喜び」を確かに伝えてくれています。

CD Artwork © Royal Liverpool Philharmonic
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by jurassic_oyaji | 2011-02-09 19:50 | フルート | Comments(3)
Commented by たがまや at 2011-02-10 20:45 x
実は私、かつてパープルの大ファンでございました。
もちろん、パープルがオケと一緒にやったアルバムも持っております。途中でなぜか日本音階的なフレーズが出てきてずっこけましたが・・・。
最近のジョンロードはこんな形で活躍していたんですね。
私の敬愛するリッチーブラックモアも最近はすっかり落ち着いた音楽をやってますが、両名ともかつての激しいインプロビゼーションをやっていた頃が懐かしいです。
Commented by jurassic_oyaji at 2011-02-10 23:50
たがまやさま。
何を隠そう、わたくしも、かつてはDPのコピーバンドといっしょに別のバンドで遊んでいました。もっとも、うちは「Take Five」なんかをやってましたが。
そんな輩が「パ」のパトリだなんて、世の中、間違ってます。
Commented by たがまや at 2011-02-11 06:05 x
ええっ!
本当ですか?
私は聖飢魔IIのコピーバンドやりましたが…私もそんな輩の一人です(笑)