おやぢの部屋2
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BACH/B Minor Mass
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Catherine Backhouse(Sop), Clint van der Linde(Alt)
Ben Johnson(Ten), Colin Campbell, Håkan Vramsmo(Bas)
Ralph Allwood/
Rudolfus Choir, Southern Sinfonia
SIGNUM/SIGCD218




最近、バッハの「ロ短調ミサ」の「新しい」楽譜の出版が相次いでいます。1つは前にもご紹介した、ジョシュア・リフキン校訂のブライトコプフ版。これは、2006年に刊行されていますので、すでにこれを用いた録音なども発表されていましたね。そして、もう一つ、ベーレンライターから昨年刊行された「新バッハ全集改訂版」です。半世紀以上にわたって続けられてきたこのバッハの「原典版」の出版事業はひとまず終了しましたが、その中にはいまいちその成果に問題があったものもあったようで、それらを再度校訂して、より完成度の高い「原典版」を出版しようというプロジェクトが、引き続きベーレンライターで始まったそうなのです。その第1弾として刊行されたのが「ロ短調」でした。なんせ、フリードリッヒ・スメントによる「原典版」が出版されたのが1954年ですから、当時に比べれば研究の精度は格段に上がっているでしょうし(今回は、X線を使って使われているインクを判別したのだとか)、何よりもリフキンなどの仕事によって「原典版」としての地位が危なくなっていることに危機感を抱いたのでしょうね。今回のウーヴェ・ヴォルフの校訂によって、その地位は守られた、というのが出版社の言い分です。
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でも、ごらんのように、スメント版もヴォルフ版も装丁が全く同じ、表紙を開いて初めて「改訂版」だと分かるというのは、ちょっと問題ですね。まだ店頭にはスメント版も残っているのでしょうから、間違って買ってしまう人が出てくるのでは、というのは老婆心でしょうか。
CDとして最も新しいものである2010年リリースの今回の「ロ短調」では、まだヴォルフ版は使われてはいないようでした。なぜか録音された日にちがどこを見ても書いてないのですが、普通に考えれば、録音された時にはまだこの楽譜は出版されていないはずですし。
演奏しているのは、ロドルフス・クワイアという、初めて聴くことになる団体です。なんでも、メンバーは16歳から25歳までに限られているそうで、それを過ぎると「卒業」してしまうのでしょうね。30人以上いる「普通の」合唱団ですから、リフキンのようにソロを歌ったりはしません。
オーケストラの「サザン・シンフォニア」は、以前リュッティさんざん聴いたときにはモダン楽器を演奏していましたが、ここではオリジナル楽器を使っています。両方とも弾ける人が集まっているのか、曲の時代によってメンバーを変えているのか、それは分かりません。ただ、この「ロ短調」でのオケの響きは、かなりモダンな感じを受けるものでした。フルートはもちろんトラヴェルソなのですが、密度の高い音質と、アグレッシブな演奏からは、この楽器の持つ「鄙びた」情感は殆ど感じられません。大活躍しているトランペットも、ナチュラル管にしてはあまりに輝きがありすぎるような気がします。
肝心の合唱ですが、予想していたとおり、「若い」というよりは「幼い」声だったのには、がっかりです。歌い方が、まるで日本の中学生のようにだらしないのですよね。まあ、ハーモニーはそこそこきちんと響かせているので、「ハモり」のセンスはいいのでしょうが、これがポリフォニーになると、たちまち馬脚をあらわしてしまいます。メリスマの歌い方がまるでダメ、これではバッハは歌えません。「Gloria」の最後、「Cum Sancto Spiritu」なんか惨めですよ。オケのスピードに全く付いていけないモタモタした歌い方をしていると思ったら、175小節のソプラノの入りのあたりで、ついに指揮者が全体のテンポを落としてしまいましたよ。これは別にライブでもなんでもなく、録り直しのきくセッション録音のはず、こんなものを商品にしていいと思っているのでしょうか。

CD Artwork © Signum Records
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by jurassic_oyaji | 2011-02-22 23:25 | 合唱 | Comments(0)