おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
チェリビダッケのブルックナー8番
 秋の定期で演奏することになっているブルックナーの8番について、いろいろ調べているところです。まず、その最も基本的な楽譜に関する事柄は、こちらにアップしてありました。もちろん、それは、団内の会報「かいほうげん」に掲載したもののコピーだったわけですね。それをお読みになった団員の方が、「こんな情報もあります。役立てて下さい」と言って教えてくれたのが、指揮者の高関健のツイッターです。彼が、ブルックナーの8番周辺の楽譜の問題についてつぶやいたものをひとまとめにしたサイトですね。高関さんといえば、このような楽譜に関するこだわりはかなりマニアックなところがあるのは知っていましたから、興味深く読ませて頂きましたよ。言ってみれば「答え合わせ」のような感じ、それぞれの稿、版の成り立ちについて、私が今までに知り得たことに間違いはなかったか、という確認の作業になるわけですね。たまに、ネットのいい加減な情報を真に受けてひどい目にあったりしますから、これは本当に役立つ情報でした。
 ところが、最後の方になって、私が全く知らなかったことが登場してきます。第2稿のノヴァーク版を使っているチェリビダッケが、第1楽章の5小節目と6小節目に入っているクラリネットを、ファゴットに変えている、というのですね。しかも、音まで違っているというのです。さっそく、1990年のミュンヘン・フィルとの東京ライブCDを入手して、確認してみました。いやあ、びっくりしましたね。高関さんも、これを初めて聴いたときにはぶったまげたと言っていましたが、その気持ちがよく分かります。もっとも、私の場合は、この演奏はNHKで何度も放送されて聴いていたのに、その頃は別に「8番」、いや、ブルックナーそのものをこんなにマニアックに聴いてはいませんでしたから、全くなにも感じなかったのが、最近になってやっとそんな境地になれた、というだけのことなのですがね。確かに、チェリビダッケは音を変えていました。楽譜では「G-G-D-D」という5度の上向音程なのですが、聞こえてきたのは「C-C-G-G」という、5度下に移調した音型だったのです。音も聴けます。こちらが、スクロヴァチェフスキの普通の演奏(クラリネットがよく聞こえます)、そしてこちらが、チェリビダッケの演奏です。
 楽譜で確認です。これが、ノヴァーク版のスコアの最初のページです。クラリネットは移調楽器ですから、B♭管で吹いているときには楽譜よりも全音低い音が出てきます。記譜は「A-E」でも、実音は「G-D」になるのですね。
c0039487_21231348.jpg

 一方、チェリビダッケがやっているのは、こうなります。
c0039487_21223856.jpg

 ここではファゴットのパートは「へ音譜表」に書かれていますから、これで「C-G」になります。ということは、どちらも音符が「第2間」と「第4間」にあって、その場所だけ見れば全く同じ譜面になっていますね(実は、下の楽譜も上の楽譜のクラリネットのパートをファゴットの部分に張り付けただけです)。
c0039487_2122690.jpg

 これは、第1稿のスコアです。ここではこのクラリネットは入っていません。改訂の時にブルックナーが新たに加えたのですね。その際には、第1稿の写筆稿の上に書きこんでいったそうなのですが、その時に1段間違えて、ファゴットの段に書くべき音符をクラリネットの段に書いてしまったのでは、というのが、高関さんがチェリビダッケの変更から導き出した結論です。こうすることによって、ソロの管楽器が低弦の「C」とヴァイオリンとホルンの「G」によって作られている「C-G」という「空虚5度」の中に入ることになって、整合性が取れますし、その先ffになって同じ形が繰り返されるところでも、トロンボーンがやはり「空虚5度」の中の音形を演奏していることとも呼応している、と、高関さんはつぶやいています。
 高関さんは、実際にこのファゴットによる「C-G」を、演奏会で実践しているそうです。末廣さんは、どのようにされるのでしょうね。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2011-02-23 21:23 | 禁断 | Comments(1)
Commented by さすらう若人 at 2015-10-19 09:30 x
死んでもブルックナーはファゴット使わないと思う
その音域ならホルン使う