おやぢの部屋2
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SAINT-SAËNS/Music for Wind Instruments
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Joanna G'Froerer(Fl), Charles Hamann(Ob)
Christopher Millard(Fg), Kimball Syks(Cl)
Lawrense Vine(Hr), Stéphane Lemelin(Pf)
NAXOS/8.570964




以前ロドリーゴの「パストラル協奏曲」での演奏を聴いていたカナダのフルーティスト、ジョアンナ・グフレエールが参加している「カナダ・ナショナル・アーツセンター木管五重奏団」と、ピアノのステファーヌ・ルムランによる、サン・サーンスの室内楽を集めた楽しいアルバムです。なかなか聴く機会のないサン・サーンスの管楽器のための作品が、存分に味わえますよ。ちなみに、このフルーティストのファーストネームの表記は、2004年にリリースされたロドリーゴのCDの帯では正しく「ジョアンナ」となっていたのに、日本の代理店が替わった今回は「ヨハンナ」というあり得ない表記になってしまっています。これは、人名表記ではつとに悪名高い「NML」の表記に合わせたからなのでしょうが、いい加減にしてもらいたいものです。こんなことではいかんな
とは言っても、「ジョアンナ」のフルートがソロで聴ける曲は、この中には入ってはいません。サン・サーンスが最初からフルートのために作った曲は作品37の「ロマンス」ぐらいしかなく、他には編曲ものが少しあるだけなのですよ。まあ、他の管楽器とのアンサンブルで、ここは我慢して頂きましょう。
その代わりと言ってはなんですが、サン・サーンスは最晩年の1921年に、クラリネット、オーボエ、ファゴットのためにそれぞれ「ソナタ」を作っています。このアルバムのメインとなったその3曲は、それぞれに楽器のキャラクターを知り尽くした、まさに大作曲家の円熟の境地とも言える見事な作品です。もはや86歳を迎えようという老境でこれだけのものを作ってしまえば、もはやフルートのためのソナタを作るほどの余力はなかったのでしょうね。残念なことです。
クラリネット・ソナタは、4つの楽章から出来ています。第1楽章は6/8拍子に乗ったシチリアーノ風のしゃれたテーマで始まりますが、中間部では一転、翳りのある楽想に変わります。細かい分散和音が、いかにもクラリネット的。第2楽章はクラリネットのもう一つの側面である軽快さが際立ちます。第3楽章は、ピアノの低音の前奏に導かれて、ソロも低音で暗~いテーマを奏でます。まるで慟哭のような重苦しさから一転して、後半は高いレジスターで囁くように歌われます。この超ピアニシモは、まさにクラリネットの得意技ですね。そしてフィナーレは、超絶技巧満載のスケールやアルペジオが駆けめぐりますが、その中には時折繊細な歌が現れる、という小憎らしさです。
オーボエ・ソナタは3楽章編成、まず、最初の楽章の鄙びたコラール風のテーマは、まるで原初のオーボエを思わせるような素朴さをたたえています。第2楽章は、「アド・リビトゥム」という表記の牧歌的なレシタティーヴォに導かれて、付点音符による3拍子の宮廷舞曲が奏でられます。そして、最後の楽章はちょっとおどけたマーチ、あくまで粋なセンスが光ります。
ファゴット・ソナタは、3楽章とはなっていますが、最後の楽章が2つの部分に分かれているので、実質的には4楽章形式になるのでしょう。美しいカンタービレのゆっくりした楽章と、軽快な楽章とが交互に現れます。第2楽章が、まさにファゴットならではのおどけた軽快さを持って、楽しませてくれます。ただ、ここでの演奏家の資質なのでしょうか、せっかくのカンタービレがあまりにノーテンキに運ばれるのが、失笑ものですが。
フルートが加わるのは、初期の作品「フルート、クラリネット、ピアノのためのタランテラ」と、中期の「フルート、オーボエ、クラリネットとピアノのためのデンマークとロシアの歌によるカプリス」です。ここではフルートはもっぱら、作品の中の華やかなキャラクターを託されているのでしょう。グフレエールには、ロドリーゴの時ほどのチャーミングさがなくなっているのが、少し気になります。

CD Artwork © Naxos Rights International Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2011-02-26 19:43 | フルート | Comments(0)