おやぢの部屋2
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BIZET/Carmen
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Elina Garanca(Carmen)
Roberto Alagna(Don José)
Barbara Frittoli(Micaëla)
Teddy Tahu Rhodes(Escamillo)
Richard Eyre(Dir)
Yannick Nézet-Séguin/
The Metropolitan Opera Orchestra & Chorus
DG/073 4581(DVD)




昨年のベルリン・フィルの「ジルヴェスター・コンサート」では、指揮者のドゥダメルとともに、ソリストとして登場したエリーナ・ガランチャの魅力にも圧倒されたことでしょう。なんたって、ルックスが最高です。単に「美しい」というだけではなく、なにか親しみのある、すぐにでもお友達になれてしまえそうな包容力までも備えているのですからね。その時には、「カルメン」からのナンバーも歌っていましたが、それは今まで「カルメン歌い」として名を残している人たちのような、ある種「いやらしさ」のようなものが全く感じられないものでした。第2幕で歌われる「ジプシーの歌」などは、あるいはドゥダメルの趣味だったのかもしれませんが、恐ろしくゆっくりしたテンポで、この曲のイメージを全く変えてしまうようなものでしたし。
これは、「ジルヴェスター」のほぼ1年前、2010年1月にMETで行われた公演の映像で、そのガランチャがタイトルロールを歌っています。例の「ライブ・ビューイング」として、ハイビジョン映像を映画館で、アメリカでは生中継、日本でも数カ月遅れで上映されたソースですね。ドン・ホセを歌っているのがアラーニャ、当初は彼のパートナー、ゲオルギューがカルメンを歌う予定だったそうですが、直前になってなんとこの二人は離婚してしまったそうなのです。相思相愛だとばかり思っていたのですが、男と女の関係なんて分からないものですね。まさに「カルメン」を地で行ったようなお話です。その結果、代役にガランチャが登場してくれ、それが晴れて映像収録されたということです。ちなみに、ゲオルギューが出演した日もあったのですが、その時のドン・ホセはカウフマンだったそうです。こちらの方も見てみたいものですね。
指揮は、これがMETデビューとなるネゼ・セガン、とても若々しい溌剌とした指揮ぶりで、第1幕の前奏曲などはまさに疾走するような爽快さです。もっとも、その調子で突っ走るのかと思っていたら、幕が開いた後はごく普通の無難な音楽に戻っていましたがね。「ジプシーの歌」もありきたりのテンポ、なんと言ってもオペラの中では、まず全体のバランスを重視するのが必要なことなのでしょう。
そんな中で、やはりガランチャは期待通りの素晴らしさでした。別に大向こうをうならせるような強烈な個性を発揮させる、といったわけではなく、むしろ、歌も演技もごく自然なのですが、気が付いてみるといつの間にかその存在感をジワリと受け止めていた、みたいな感じでしょうか。それと、彼女はダンスのセンスがすごくいいのですね。特に、大勢で踊っている時の他のダンサーとのアンサンブルは、見事としか言いようがありません。彼女もまた、現代のオペラでは武器となる「歌って踊れる」資質を存分に備えた人だったのですね。
アラーニャも、さすが、悲しいほどにひたむきなオトコをしっかり演じていましたし、急な代役だったテディ・タフ・ローズのエスカミリオも、伸びのある低音を堪能できました。ただ、フリットリのミカエラは、ちょっと異質でしたね。
間奏曲の時に象徴的なダンスを取り入れたり、大詰めでは回り舞台でかっこよすぎるエンディングを決めたりと、リチャード・エアの演出も冴えあたっていました。
このオペラではフルートが大活躍するのですが、時たま聴こえてくるそのフルートが、とても印象的な音色であることに気が付きました。映像でたまに登場するピットの中を見てみると、フルートのトップの席にはデニス・ブリアコフが座っているではありませんか。METのオーケストラにはもう一人の首席フルート奏者がいますが、この日はブリアコフが乗り番だったのですね。これはラッキー。有名な「間奏曲」なども、彼の強靭な音色とたっぷりとした歌心で、とても素晴らしいものを味わうことが出来ますよ。
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DVD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-03-23 20:12 | オペラ | Comments(0)