おやぢの部屋2
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PACINI/Il Convitato di Pietra
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Leonardo Cortellazzi(Don Giovanni)
Geraldine Chauvet(Donn' Anna)
Zinovia-Maria Zafeiriadou(Zerlina)
Daniele Ferrari/
Südwestdeutsches Kammerorchester Pforzheim
NAXOS/8.660282-83




ロッシーニの作品を上演する音楽祭としては、彼の生地ペーザロで行われている「ロッシーニ・オペラ・フェスティバル」が良く知られていますが、もう一つ、彼が保養に訪れたドイツの街、バート・ヴィルバートでも、「ロッシーニ・イン・ヴィルバート・ベルカント・オペラ・フェスティバル」というものが毎年開催されています。2008年には、20回目という節目を迎えましたが、その時に「初演」されたのが、この、ロッシーニと同時代の作曲家ジョヴァンニ・パチーニが作った「Il Convitato di Pietra(石の招待客)」という作品です。
このタイトルを聞いて、とっさに別の作品を思い浮かべた方がいるかも知れません。そう、これは、あのモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」の「元ネタ」として知られているガッツァニーガの作品のサブタイトルなのですね。ちなみに、モーツァルトの作品の正式なタイトルは「罰せられた放蕩者」でしたね。
このパチーニという人は、父親がバス歌手、なんでもロッシーニのオペラの初演でも歌っていたというような実力の持ち主だったそうです。他にも家族の中にはプロの歌手やアマチュアの歌手など、まさに「音楽一家」といった感じで歌手がごろごろしていたのだとか。そんな「ファミリー」で演奏しようと作られたのが、この「石の招待客」なのです。ですから、ちゃんとした劇場でお客さんを前に上演されたのは、この2008年のものが最初だったということになります。楽譜などもきちんとしたものではなかったようで、ジェレミー・コモンズという人と、指揮者のフェラーリがまず楽譜の修復から始めて、上演にこぎつけたそうです。
タイトルに「Farsa o operetta(道化芝居、またはオペレッタ)」とあるとおり、ここでは通奏低音を伴ったレシタティーヴォ・セッコではなく、「語り」のセリフによって物語が進行しています。これが本来の形だったのか、校訂者たちの見解でレシタティーヴォをセリフにしたのかは分かりませんが、これによって「オペラ」、あるいは「オペラ・ブッファ」というものとはやや趣を異にした「お芝居」のテイストが濃くなっているのは事実でしょう。そこで、まず、音楽が始まる前に、実際にパチーニが作った時に割り振ったファミリーたちが登場して、それぞれの役を自分たちで紹介する、といったひとくさりが、なにか和みます。ただ、ブックレットには対訳は付いてはいませんし、ネットでダウンロードできるリブレットもイタリア語だけですから、普通の人には細かい内容は分からないよう。ただ、モーツァルトの作品を知っていれば、とりあえず、誰と誰とが話しているか、とか、語調の感じでなんとなくお話を想像することは出来ることでしょう。もちろん、レポレッロは「フィッカナーソ」という名前に変わっていますし、ドンナ・エルヴィラも登場してはいない、というあたりはきちんと押さえておかなければいけませんが。
プライベートな作品だったせいなのでしょうか、オーケストラの編成も弦楽器にフルートが2本加わっているという簡素なものです。もしかしたら「ファミリー」にフルーティストがいたのかもしれませんね。そのフルートは、時にはピッコロに持ち替えられたりして、このシンプルな楽器編成からかなりの色彩感を出しているのは、作曲家のセンスがそんなに悪いものではない証なのでしょうか。もちろん、音楽全体はモーツァルトあたりとは比べるのも酷なぐらい単調でノーテンキな仕上がりなのですが、アリアはそこそこ美しいものですし、コロラトゥーラの妙技も味わえて、「娯楽」として楽しむには充分な手ごたえです。最後あたりに、おそらく騎士長が登場するシーンなどは、減和音などを多用してなかなかおどろおどろしい雰囲気も醸し出していますしね。

CD Artwork © Naxos Rights International Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2011-04-06 20:09 | オペラ | Comments(0)