おやぢの部屋2
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BACH/Clavier-Übung Part II
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Hansjörg Albrecht(Org)
OEHMS/OC 634(hybrid SACD)




このレーベル、代理店が替わって日本語の「帯」が付くようになったのはいいのですが、今回の「クラヴィーア練習曲集第2巻」である「イタリア協奏曲」と「フランス風序曲」をメインとしたアルバムのタイトルを、「オルガンで聴く様々な作品集」などと、オリジナルとは似ても似つかない「邦題」にしてしまったのには、笑えます。いやぁ、それにしても間抜けなタイトルですね。そもそも「様々な作品」などと言われてしまったら、どんな曲が入っているのか全く分かりませんよね。そのアルバムの中身を一言で表すのが「帯」の命、制作者の使命なのに、こんな投げやりな仕事でギャラが稼げるなんて。
アルブレヒトの一連の趣向を凝らしたオルガンアルバム、バッハに関しては今までに「ゴルトベルク変奏曲」「ドイツ・オルガン・ミサ」がリリースされていましたが、これらは前にも述べたようにそれぞれ「クラヴィーア練習曲集」の「第4巻」と「第3巻」として出版されたものです。そして、今回は「第2巻」である協奏曲と序曲、ですから、彼はこれまでこの曲集を逆順に手がけてきたことになります。おそらく、もう少しすれば「第1集」である「パルティータ」も、発表してくれることでしょう。つまり、このアルバムにはその前後のものとの関係がしっかり意味づけされているはずなのに、代理店がでっち上げたタイトルからは、それが全く伝わってこないのですね。困ったものです。
この2つの曲は、「クラヴィーア」、つまり鍵盤楽器のために作られたものですから、オルガンで演奏されてもなんの問題もありません。とりあえず譜面は「手鍵盤」だけですが、そこからバス声部を抜き出してペダルで演奏すれば、そのままオルガン曲になるのですからね。例えば「イタリア協奏曲」の第2楽章などは、まさにペダルによる「バス」、左手の鍵盤による「オスティナート」、そして右手の鍵盤による「ソロ」と、はっきり役割が決まっていますから、チェンバロよりはオルガンの方がより「協奏曲」らしく聴こえるはずです。アルブレヒトは、ソロ・パートにちょっと刺激的なリード管を使って、まるでヴァイオリンか管楽器のような味を出しています。これは、音が持続しているオルガンならではのメリットですね。両端の楽章だって、トゥッティとソロの対比は、鍵盤を変えて即座に別の音色に出来ますから、より立体的な表現が可能になってきます(これは、チェンバロでも可能ですが)。実質的には「組曲」である「序曲」も、適切なストップによって演奏されれば、それぞれの舞曲のキャラクターがより際立って味わえるはずです。ここでも、「サラバンド」と「ブーレ」が続けて演奏されると、それは全く別の楽器なのではないか、という驚きが待っていることでしょう。
これだけでは、今のCD1枚分としては少し足らないので、「様々な作品」の登場です。ここでは大曲、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番からの「シャコンヌ」が、アルノー・ラントマンのオルガン用編曲によって演奏されています。もともとは海産物(それは「シオコンブ」)ではなく、ソロ・ヴァイオリンのための作品ですが、オーケストラによってすら演奏されるほどの壮大な曲想ですから、これもオルガンにはうってつけです。編曲のせいなのか、アルブレヒトのストップに対するセンスのせいなのかは分かりませんが、ここでのバスを強調したフル・オルガンの迫力にはすさまじいものがあります。これはある意味オーケストラ版を超えた色彩感とダイナミック・レンジをもった、とてつもない演奏です。
そして、これに呼応して、同じ、変奏曲つながりでアルバムの最後には、唯一オリジナルのオルガン曲である「パッサカリアとフーガハ短調」が入っています。これも、「シャコンヌ」と同じコンセプトで演奏されていますから、聴き慣れた「パッサカリア」とは全然違った華麗な仕上がりです。

SACD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-05-11 19:41 | オルガン | Comments(0)