おやぢの部屋2
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L'Amour et la Mort/Organ Works by Widor・Saint-Saëns・Bizet・Fauré
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Iveta Apkalna(Org)
OEHMS/OC 678(hybrid SACD)




このところ、やたらOEHMSレーベルが続きますが、別にこの代理店とはなんの利害関係もないので、これは単に興味のあるCDがたまたまこのレーベルだったというだけのことです。もちろん、しっかりお金を出して買ってます。なんたってSACDで聴くオルガンは、音が伸びやかで低音もたっぷりとしていますから、つい手が伸びてしまいます。
しかし、同じオルガン物でも、これは前回のバッハとはあらゆる意味で対照的なアルバムです。まずはジャケット。あちらは決まったパターンの地味なデザインでしたが、こちらはもろアーティストを前面に押し出した華やかさです。これは、ラトヴィア出身の美しすぎるオルガニスト、イヴェタ・アプカルナだからこそ出来ること、アルブレヒトの場合はこんな風にアップで迫ってこられたら、ちょっと引いてしまいますね。ちなみに、彼女は日本茶は好きなのでしょうか(それは「イゲタ」・・・地域限定ネタです)。そして、前回のドイツ音楽から、今回は打って変わって色彩的なフランスの作曲家の作品のオンパレード、5割り増しの軽やかさで楽しませてくれることでしょう。
今回登場する楽器は、2004年にエッセンのフィルハーモニーが新築された時に、一緒に作られたかなり大きなオルガンです。3層の客席から成るシューボックスタイプの音の良さそうなホール(音響設計は豊田さんでしょうか)、そのステージ後方にそびえるクーン・オルガンは、なんともモダンなファサードを誇っています。この楽器の最大の特徴は、「Schwellwerk」という、クレッシェンドやディミヌエンドがかけられるオルガンを備えているということでしょう。これは、ストップを増減させて段階的にダイナミックスを変えるのではなく、ファサードを覆っている窓を開閉して、連続的に音量を変えるという機能が付いているオルガンです。
それをめいっぱい使って演奏しているのが、このアルバム中唯一のオリジナルのオルガン作品、有名なヴィドールの「トッカータ」です。それこそ電子オルガンでボリュームを操作しているのではないかと思えるほどの見事なディミヌエンドが聴こえてきた時には、鳥肌が立つほどゾクゾクしてしまいました。
その他の曲は、全て本来はオーケストラのための作品をオルガンに編曲したものです。中でもちょっと驚くのが、ビゼーの「アルルの女」の第1組曲と第2組曲を全曲オルガンで演奏しているという、とてつもないアイディアです。元々、色彩的な管楽器が活躍する曲ですが、それを、このオルガンの豊富なストップを駆使して、見事に原曲に近いもの、場合によっては、原曲よりもさらにカラフルな仕上がりを楽しめるものに仕上がっています。「第1」の「アダージェット」などは、とびきりのピアニシモの美しさが魅力です。この曲に限らず、アプカルナはオルガンから「力」よりは「繊細さ」を導き出そうとしているように思えます。次の「カリヨン」なども、いかにも鄙びた、まるでストリート・オルガンのような音色で和ませられます。
ただ、「第2」になると、表現として、オルガンがオーケストラには及ばないところが見られてきます。「パストラーレ」の冒頭の堂々としたフレーズが、そんな一例、オルガンは真の意味のレガートがとても苦手なことが分かってしまいます。弦楽器や管楽器ではなんなくできる「音を滑らかにつなぐ」という表現は、音の変わり目で別のパイプに替わってしまうオルガンではかなり難しいのでしょう。ですから、フルート・ソロで有名な「メヌエット」も、オリジナルの流れるような旋律線がブツブツ切れてしまって、まるでおもちゃの楽器のように聴こえてしまいます。
でも、そんな不都合もあまり気にならないのは、やはり彼女のたぐいまれな美貌のせいなのでしょう。

SACD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-05-13 20:12 | オルガン | Comments(0)