おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Symphonies nos 3 & 4
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Herbert von Karajan/
Berliner Philharmoniker
DG/UCGG-9012(single layer SACD)




カラヤンの指揮するベートーヴェンなどというベタなアイテムは、ここでは今までに「田園」があっただけです。でも、それはあくまでもゴールウェイの演奏を聴きたいがためのものでしたから、カラヤンなんかどうでもよかったのでしたし。
とか言ってマニアを気取っていますが、音楽を聴き始めたころはなにしろレコードといったらカラヤンという評判でしたから、1962年に録音されたDGでの最初のベートーヴェンの交響曲全集を持っていました。でも、再生装置はかなりの安物でしたから、出てきた音は、それなりの勢いはあるものの、なにか薄っぺらに感じられたものです。
今回、日本のユニバーサルの注目企画、シングル・レイヤーSACDのシリーズとして、その全集の中から「3番」と「4番」という、ハイブリッドSACDではあり得ないようなカップリングのアルバムが登場しました。なんせ、トータルの演奏時間は8137秒ですから、普通のCDの限界をはるかに超えています。これだけでもお買い得感は満載ですね。
聴こえてきた音は、すごすぎました。昔聴いていた安っぽいオーディオ環境を差し引いても、当時のDGの録音技術は、ここまですごいものだったとは。弦楽器の音はあくまで伸びやか、そしてその艶やかなこと。まるで熟した果実のようなみずみずしさがありました。フォルテシモではまるでシャワーのように、音の粒が部屋中に飛び散っています。そして、ピアニシモになると、これはもうSACDでなければ絶対に味わえない、絶妙の肌触りです。コントラバスのエネルギーもものすごいものですね。
さらに、木管楽器がそんな分厚い弦楽器に決して埋もれることなく、しっかりと存在感を主張しているのも、驚異的です。フルートはおそらくツェラーでしょうが、彼の音はまさに立体的に、まるで手を伸ばせば届いてしまうほどのきっちりとした音像を届けてくれています。普通はまず隠れて聴こえて来ない低音も、しっかりと存在が確認できるという、恐るべき精度です。
そんな、とてつもない情報量を持った再生音ですから、LPでは気づかないほどの編集の時のテープのつなぎ目なども、いとも簡単に分かってしまいます。「3番」の第2楽章でオーボエ・ソロがテーマを吹きだす直前などは、どんな人でもテープが貼り合わされていることに気づくことでしょう。この編集を行ったギュンター・ヘルマンスは、まさか半世紀後にこれほどの解像度を持ったアマチュア用の再生ツールが出てくることなどは、予想もしていなかったことでしょうね。
ところが、「4番」になると、なんだか音がずいぶんおとなしくなってしまいましたよ。弦の艶やかさが全くなくなってしまったのです。木管にしてもなんだか一歩後ろに下がってしまい、音像も平板になっています。同じツェラーなのでしょうが、フルートは明らかに芯のない音に変わっています。これは一体どうしたことか、と聴き続けていると、3楽章に入ったとたん、そこにはさっきの「3番」での音が戻っていたのです。つまり、この曲の前半と後半では、全く別の音で録音されているのですね。
そのわけは、すぐ分かりました。このジャケットには、録音された日は「196211月」としか記載されていないのですが、詳細なディスコグラフィーのデータを見ると、「3番」は「1962111115日」、「4番」は「1962年3月14日、11月9日」に録音が行われていたことが分かります。つまり、「4番」の場合は、セッションが半年の間を空けて2回あったのですね。おそらく、前半は3月、後半は11月に録音されたのでしょう。その間には、当然マイクの場所も変わるでしょうしね。
こんなことは、SACDだから分かるのでしょう。いっそ、残りも同じスペックで出してもらって、聴き比べてみたいものです。2チャンネルステレオだったら109分まで収録できるのがSACDですから、あと3枚で全集が完成してしまいますし。

SACD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2011-05-27 20:20 | オーケストラ | Comments(0)