おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MILHAUD/Choral Works




Stephen Layton/
Netherland Chamber Choir
GLOBE/GLO 5206



ダリウス・ミヨーという作曲家、「6人組のひとり」と言うな肩書きで括られてしまえばそれで片づいてしまい、実際の作品についてはいまいちイメージのわきにくい人なのではないでしょうか。ちょっと調べてみたら、作品の数は1000曲近くもあるのですから、かなり旺盛な創作活動を行ったということが出来るでしょう。なかでも、交響曲は、「室内交響曲」というのを合わせると全部で18曲、弦楽四重奏曲もやはり18曲も作っているという、この時代にしては「古典的」なジャンルも押さえた人です。その上で、映画音楽も含めた幅広い分野での作品を残しているのですが、その割には、頻繁に演奏されるものはごく限られたものにとどまっているため、なかなかメジャーにはなりきれないのでしょう。
このアルバムは、そんなミヨーの無伴奏合唱曲を集めたものです。彼の合唱曲は全部で83曲あるとされていますが、恥ずかしい話、私は1曲も聴いたことがありませんでした。したがって、このアルバムの中の曲も、全て私の中での「世界初演」ということになりますね。1930年代の「ローヌ川讃歌」、「2つの都市」、「裸の手の前で」と、1950年前後の「ヴィーナスの誕生」、「ダヴィデの3つの雅歌」、そして、最晩年1972年の「プロメセ・デ・ディエウ」という具合に、ある程度時代的な変遷を追うことも可能な選曲と曲順になっています。
ドビュッシーの亜流のようないかにもフランス風のハーモニーやシンコペーションを多用した初期の「ローヌ川~」あたりが、典型的なミヨーの作風になるのでしょうか。これが中期の「ダヴィデ~」になると、プレーン・チャントとハーモニーを交替させるというユニークな構成を取っていて、最も聴き応えのあるものに仕上がっています。しかし、晩年の「プロメセ~」は、いたずらに懲りすぎたハーモニーを多用しているため、はっきり言って退屈な曲調、これが「円熟」というものなのでしょうか。
ここで演奏しているのはオランダ室内合唱団、指揮は、最近この団体の首席指揮者に就任した、このサイトではおなじみのスティーヴン・レイトンです。レイトンといえば、今最も注目される合唱指揮者、この合唱団との初めてのCDになるこのアルバムでは、どのような音楽を届けてくれているのか、という大きな期待をもって聴き始めたのですが、どうも、何かが違います。かつて、私がこの合唱団を最初に聴いたときには、その、まるでいぶし銀のような渋い音色に魅了されたものでした。しかし、ここではそのような深い響きがほとんど聞こえてこないのです。やたら高音を多用するミヨーのスコアのせいもあるのかもしれませんが、ソプラノの余裕のないナマの声が、とても耳障りに聞こえてしまいます。ですから、ffの部分はまさに悲惨、ハーモニーなどどこかへ行ってしまったような「叫び声」しか聞こえてこないのは残念です。ppになれば持ち前の美しい響きは確保できているのですが、ハーモニーの変わり目がとても雑で、自然な流れが損なわれてしまっています。あの、緊張感を伴った濁りのないハーモニーを引き出すレイトン・マジック、この合唱団にその効き目が現れるのは、もう少し先になるのでしょうか。蛇足ですが、ライナーの歌詞対訳のトラックナンバーに間違いがあります。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2005-04-29 19:38 | 合唱 | Comments(0)