おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem
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Montserrat Figueras(Sop), Claudia Schubert(Alt)
Gerd Türk(Ten), Stephan Schreckenberger(Bas)
Jordi Savall/
La Capella Reial de Catalunya
Le Concert des Nations
ALIA VOX/AVSA 9880(hybrid SACD)



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Soloists
Victor Popov/
Boy's Chorus of the Sveshinikov Moscow Choral School
VENEZIA/CDVE 04396




前回、あんな素晴らしいモーツァルトの「レクイエム」を聴いたばかりですが、手元にはまだ最近出た他の録音も残っていました。ちょっと分が悪くなりますが、それぞれにユニークな主張が込められたものですから、まとめてご紹介をしてみましょう。
最初のサヴァール盤は、1991年に録音されたもので、以前はNAÏVEからCDが出ていました。それが、1998年にサヴァールたちが創設したこのALIA VOX(「演奏者の声」という意味なんですってね)レーベルからSACDとなって出直りました。自分たちの音源を、よそのレーベルではなく自分たちのレーベルで、よりよい音になったものを聴いてもらいたいという熱意の表れなのでしょうか。なかなか懐の深い、暖かな演奏を聴かせてくれています。それは、おそらく教会で録音した時の暖かな残響が、そのような印象を与えるのでしょう。ていねいなマスタリングによって、そのあたりがしっかり伝わるようなものになっているのは、嬉しいことです。
正直、フィゲーラスの声はこういう曲の中で聴くのは好きではないので、あまり心地よいとは言えないのですが、テノールのテュルクがそんな不満を解消してくれていました。
ただ、別の面で、このSACDには不満があります。豪華カラー印刷の分厚いブックレットには、この曲の自筆稿の写真が掲載されています。それは確かに、モーツァルトの「絶筆」の姿を伝えるものとして価値があるのでしょうが、何枚かあるその「自筆稿」の中には、モーツァルトが書いてはいないものも含まれているのですね。例えば「Confutatis」などは、弦楽器や管楽器の入ったきちんとしたフルスコアになっていますが、彼自身が書いた楽譜にはバスのパートと合唱しかなかったはずです。さらに、「Sanctus」や「Benedictus」はジュスマイヤーのオリジナルですから、モーツァルトが書いた楽譜が残っているはずがありません。それらを全部「モーツァルトによるオリジナルの自筆稿」と紹介している図太さは、このレーベルの良識を疑わざるを得ないものです。きちんと表記さえしてくれれば、ジュスマイヤーとの筆跡の違いなども楽しめてひっせき二鳥になったものを。

もう1枚は、そのほんの3年前、1988年にモスクワで録音されたものですが、そのあまりの録音の悪さにはたじろいでしまいます。それが崩壊直前の「ソ連」の実情だったのでしょうが、いくら「ヒストリカル」といっても、これではひどすぎます。なにしろ、響きが飽和していて、細かい音などはほとんど聞こえてこないのですからね。最大の被害者はティンパニ。キレの良いアクセントであるべきものが、単に全体の音を汚すものにしか聞こえません。
そんなオーケストラが、いったい何という名前のものなのかも、ジャケットやブックレットを見る限りでは分かりません。書いてあるのは指揮者とソリスト、そして合唱団の名前だけなのですからね。その合唱団は、「スヴェシニコフ記念モスクワ合唱学校」というところの少年合唱です。こんな学校、今でもあるのでしょうか。「少年合唱」とありますが、もちろんテナーやベースのパートは大人が歌っていて、「少年」は本来は女声のパートを歌います。しかし、その合唱の雑なこと。たっぷりとしたテンポに乗って、かなり大人数のオーケストラがバックで演奏しているせいなのでしょうか、めいっぱい声を張り上げて「頑張って」いる姿だけが痛々しく伝わってくるだけです。
そして、すごいのは、ソロも「少年」が歌っているということです。しかし、この2人の少年がとても素晴らしかったのには、なにか救われる思いでした。不安定なところがないわけではないのですが、声自体はとても立派なものですし、何よりも自発的な「表現」がしっかりしているのですね。「Ricordare」や「Benedictus」などは、とても楽しめました。

SACD and CD Artwork c Alia Vox, Venezia
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by jurassic_oyaji | 2011-05-31 23:02 | 合唱 | Comments(0)