おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
An Evening with Dave Grusin
c0039487_19185273.jpg



Gary Burton(Vib)
Nestor Torres(Fl)
Dave Grusin/
Henry Mansini Institute Orchestra
TELARC/32928(BD)




初めてのBD(ブルーレイ・ディスク)のレビューです。遅まきながら、BDを見ることのできる環境が整ったものですから。HD対応のテレビで普通にHDが体験できるようになると、もうDVDスペックの画面では物足りなくなってしまうのは分かっていたのですが、まんまと乗せられてしまいましたね。なんたって、今ではBDレコーダーの方がかつてのDVDレコーダーより安く買えてしまうのですから。
デイヴ・グルーシンと言えば、「卒業」や「黄昏」などの映画音楽で有名な人ですが、なによりもひところの「フュージョン」シーンをリードしていたことで、強烈に記憶に残っています。自身のレーベル(GRP)も立ちあげて、たとえばフルートのデイヴ・ヴァレンティンのアルバムなども多数プロデュースしていましたね。そんな、ひところの黄金時代は築いたものの、最近ではほとんど名前を聞くこともなくなったので、引退して豪華客船で世界一周でもしているのかな(「クルージング」です)と思っていた矢先に、こんな映像(CDも同時にリリースされています)が出ました。2009年の12月に、マイアミのコンサートホールで行われたライブです。
画面に現れたグルーシンには、かつての精悍な面影はありませんでした。それもそのはず、このときにはすでに75歳になっていたのですから、こんな、はっきり言ってヨボヨボの老人になっているのは当たり前のことです。しかし、ひとたびピアノに座ると、背筋はピンと伸び、とてもきれいな指使いから生まれるピアノの音色には、いささかの衰えもありませんでした。確か、彼はきちんとクラシックの勉強をしていたはず、基礎さえしっかりしていれば、いくつになっても腕が落ちることはないのでしょうね。
ある時はピアノを弾き、ある時は立ち上がって総勢60人近くのオーケストラ(ビッグ・バンド+9型の弦と3管編成の木管+ホルン3本)を指揮するといった、最近ではあまり見ることのなくなった、作曲、編曲、演奏の全てを1人で仕切るという、なんとも「かっこいい」姿がそこにはありました。それこそ往年のバート・バカラックのように、ファッションも派手な蝶ネクタイとタキシードでおしゃれに決めていれば完璧なのでしょうが、ごくありふれたジャケット姿というのも、あまり目立ちたがらないグルーシンのシャイな一面を垣間見る思いです。
そこに、たくさんのゲストが加わります。彼のキャリアを物語るかのように様々な曲が演奏されましたが、なんと言っても楽しめたのはバーンスタインの「ウェストサイド・ストーリー」からのナンバーでした。確か、そういうタイトルのアルバムもかつて作っていましたね。まずはゲイリー・バートン(この人も、まだまだ元気です)のヴァイブがフィーチャーされた「クール」、オリジナルにもヴァイブが入っていますから、それを意識してのアレンジなのでしょうが、さらに自由度を増したソロが素敵でした。ヴォーカルのゲスト、パティ・オースティンとジョン・サカダのデュエットで「サムウェア」は、アダルトな魅力で渋く迫ります。ネスター・トーレスという、初めて聴いたフルーティストは、頭部管だけ木製という楽器を持って登場です。リップ・プレートのそばに小さなマイクをつけて、ケーブルとトランスミッターを上手にスーツの中に隠していましたから、最初はマイクの存在が分からないほど、そんなおしゃれな楽器で軽やかに動き回りながら「アイ・フィール・プリティ」を演奏します。バラードっぽかったものが、途中でノリノリのラテンに変わるという、度肝を抜かれるようなアレンジが光ります。いかにも木管らしい柔らかい音色、彼も基礎がしっかりしている人だと見ました。エンディングはコーラスも入り、全員で「アメリカ」、やはりオリジナルとは全然違うノリのラテンで、盛り上がります。

BD Artwork © Telarc International
[PR]
by jurassic_oyaji | 2011-06-10 19:20 | ポップス | Comments(0)