おやぢの部屋2
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BACH/Messe h-Moll
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Trine Wilsberg Lund(Sop), Fredrika Brillembourg(Alt)
Carsten Süß(Ten), Raimund Nolte(Bas)
Joshard Daus/
EuropaChorAkademie
Stuttgarter Kammerorchester
GLOR/GC10311




例えばバッハの「ロ短調ミサ」全曲をアマチュアの合唱団が演奏するなどというのは、少し前まではとても大変なことでした。もちろん、ピアノ伴奏などでごまかしたりしない、ちゃんとしたオーケストラを使っての演奏、ということですがね。オーケストラだけでなく、ソリストも呼ばなければなりませんからお金がかかりますし、なんと言っても合唱パートは、もしかしたら「マタイ受難曲」や「ヨハネ受難曲」には比べものにならないぐらい大変なものなのではないでしょうか。ま、逆に考えれば、それだけ合唱団としてのやりがいのある曲であることにもなります。
そんな大変な曲を、なぜかこの近辺の街のアマチュア合唱団が、毎年のように取り上げているのは、なにかの偶然なのでしょうか。去年は、あのヘルムート・リリンクを迎えて、仙台のS合唱団が演奏しましたし、今年はもう少しすると北部の旧中新田町で、地元の合唱団の連合体が、やはり地元の合唱専門の指揮者による演奏を行うはずです。さらに、来年には、仙台の「日本一」の合唱団が、「日本一」の合唱指揮者の下でこの「ロ短調」を演奏する予定だと聞いています。確か、今年と来年の分は「なんとか記念」みたいな、節目に合わせた重要な演奏会だったような気がします。そのような、思いきり力の入った催しですから、合唱団の人数はおそらく100人近くのスケールになるのでしょうね。もっとも、それにはオーケストラやソリストのギャラを賄うために頭数をそろえる、という意味合いもあるのでしょうね。これはアマチュアの宿命ですから、仕方のないことです。
CDの世界では、「ロ短調」に限らずバッハの作品はごく少人数の合唱で演奏するという流れがほぼ固まっているかに見えます。もちろん、その究極の形は各パートを一人ずつで歌う、というリフキンが唱えた「説」になるわけで、この世界ではもはや100人規模の合唱による演奏は「時代遅れ」(いや、正確には少人数の方が昔の時代なのでしょうが)になっているという感は否めません。
ヨスハルト・ダウスによって1997年に創設された「オイローパ・コール・アカデミー」は、その名の通り、ヨーロッパ中から集まった若いシンガーたちの教育の場でもあります。もっぱらマーラーやベルリオーズといった、大オーケストラの中での合唱パートを担う活動を日常的に行っていますので、バッハを演奏する時にも大人数で歌うというスタンスを変えることはありません。オーケストラはさすがに小編成ですが、もちろんモダン楽器を使っています。そして、ソロ歌手たちも、女声は特にピリオド唱法にこだわることのない、フツーのベル・カントです。別に巻き舌を使うわけではありませんが(それは「ベロ・カンダ」)。
そういう、今ではほとんどアマチュアの合唱団しか採用していないようなセッティングで演奏されている「ロ短調」ですが、その演奏までもが「アマチュア」であるのは、ちょっと困ったものです。いや、この合唱団は正確には「プロ」ではないのでしょうが、このように全世界で販売されているCDの中で歌うからには、そんな甘えは許されません。きちんと、ポリフォニーの綾が浮き出てくるように「Kyrie」を歌うのは「アマチュア」でも要求される最低限のスキルなのでしょうが、それすら出来ないようでは問題です。もっとも、この件に関してはダウスのとったテンポがあまりに遅すぎたため、合唱がそこまでのテンションを保てなかった、という一面もあるのでしょう。もはや、バッハをこのような遅いテンポで演奏するのには無理があることは、みんなが気づき始めています。
同じように、「Agnus Dei」のソロをビブラートたっぷりに歌うことにだって、共感できないような時代になってしまっていることにも、そろそろ気づいてもいい頃なのではないでしょうか。

CD Artwork © Glor Music Production GmbH & Co. KG
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by jurassic_oyaji | 2011-07-10 23:11 | 合唱 | Comments(2)
Commented by stellaceli at 2011-07-11 00:08 x
かいほうげん、どうもありがとうございました。
家人に見せたら、「やられた!」と申しておりました。
Commented by jurassic_oyaji at 2011-07-11 08:22
お送りするのもなんだと思っていたのですが、
ちょうどあの会場に団員に渡す分が置いてあったので、
持って行っていただきました。

いずれ、演奏会のご案内も差し上げます。