おやぢの部屋2
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Benefizkonzert für die Erdbebenopfer in Japan
Benefizkonzert für die Erdbebenopfer in Japan_c0039487_23114364.jpg
A. Kampe(S), L. Braun(A), K. F. Vogt(T), M. Volle(B)
Zubin Mehta/
Bayerisches Staatsorchester und Chor
Die Münchner Philharmoniker und Chor
Symphonieorchester und Chor des Bayerischen Rundfunks
NAXOS/NYCC 27265(hybrid SACD)




2011年5月2日にミュンヘンで開催されたのは「日本の地震犠牲者のための慈善演奏会」というのが、正式なタイトルだったのだそうですが、そのライブ録音がSACDになった時には「復興支援演奏会inミュンヘン」という言い方に改竄されていました。確かに、今の日本で「慈善」などという「上から目線」(しかし、いやな言葉ですね)の言葉を使ったりすれば、それだけで袋だたきに遭ってしまうことでしょう。それにしても、ドイツ語では「犠牲者」は「Opfer」なんですね。「捧げもの」とか「生け贄」という意味の「犠牲」なのでしょうから、これが明らかになれば○本元大臣以上に被災者の神経を逆なでするのは必至です。
このジャケットは、その演奏会のポスターをそのままデザインしたものなのだそうです。「日の丸」を「涙」に見立てたのでしょうかね。まあ、これも無神経といえば無神経なやり方です。日本の「国旗」をなんだと思っているのでしょう(笑)。というより、これは涙というよりは「桃」に見えてしょうがないのですが。津波は鬼ヶ島に鬼退治に来た桃太郎だなどと、○原東京都知事のようなことを言われているような感じがして、怒り出す人がいるのではないかと心配になってきます。
そのぐらい、おおざっぱな人たちが考えた演奏会ですから、そこでベートーヴェンの「第9」のような、こういう場面にはもっともふさわしくない作品が演奏されたとしても、それほど驚く必要はありません。要は、そんな場で集められた1,500万円が、義捐金として届けられた、という事実が重要なのですから。
この演奏会では、ミュンヘンで活躍している3つの世界的なオーケストラが合同演奏を行っている、というのが目玉になっています。しかし、だからと言ってオーケストラが3つなんて、さぞやステージの上は窮屈だったのでは、と思うのは全くの見当はずれです。ジャケットの中にある写真によれば、会場であるミュンヘンのガスタイク・ホールで演奏しているのは、ごく普通のサイズのオーケストラ、つまり「1個分」の人数しかいない編成なのですから。弦楽器は16型でしょうし、こういう「お祭り」によくある「倍管」という管楽器の倍増措置も行われてはいません。あくまで演奏は水増しのないきちんとしたものを聴かせたい、という思いのあらわれなのでしょうか。でも、やっぱり「3つ」と言っておいてこれでは、ちょっと騙された気分になる人もいるかも知れませんね。変なところでケチったものです。
ですから、この録音を行ったバイエルン放送のレーベルを扱っている関係で、せっかく「日本国内限定リリース」を任されたナクソス・ジャパンとしては、ぜひともオーケストラのメンバーのリストを作るべきだったのでは、と思います。特に、木管楽器では出身オケの分布がどうなっているのかが、非常に興味がわくところですからね。なにしろ、いくら同じ街のオーケストラ同士と言っても、実際に「合同」で演奏する機会などは殆どないのでしょうから、木管のアンサンブルなどは細かいところで微妙に「合ってない」ところが見られるのですね。スケルツォのトリオのように、それが逆に面白い緊張感を生んでたりするものですから、その「実体」をじったい(絶対)知りたいな、と。
もしかしたら、パート譜などもそれぞれのオーケストラから持ってきたのでは、などと思えるところもありますよ。メータは基本的に「昔の」ブライトコプフ版を使っているようなのですが、ファゴットだけはベーレンライター版にしかないような譜割りで吹いていたりしますからね。マーチのイントロでコントラファゴットが1オクターブ下の「変ロ」を出しているのにも、驚かされます。なんせSACDですから、細かいところがよく聴こえるのですよ。

SACD Artwork © Naxos Japan, Inc.
by jurassic_oyaji | 2011-07-12 23:13 | オーケストラ | Comments(0)