おやぢの部屋2
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MIYOSHI/Psaume, Requiem
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小林研一郎、岩城宏之/
日本プロ合唱団連合
東京都交響楽団、
NHK交響楽団
NAXOS/NYNG 001



NAXOSの日本法人ナクソス・ジャパンが、鳴り物入りで新しい企画をスタートさせたそうです。それは、ちょっと前の日本人の作曲家の作品をシリーズで出す、というものです。そんなものは、もう何年も前からやっていたではないか、という声が聞こえてきそうですが、これはその「日本作曲家選輯」とは全く別の企画のようでした。そもそも、「選輯」の方は、スタート当初こそ日本人作曲家の一大アンソロジーを構築するような大風呂敷を広げていたものの、次第に尻つぼみになって行き、いつの間にか消滅していましたね。なんと言っても、すべてを新録音で構成するというのは、今の時代、ちょっと無理があったのかもしれませんし、そもそも、この企画の中枢を担っていたライターがやる気をなくしてしまったのでは、致し方ありません。
その代わり、ということで始まったのが、NHKの大昔の音源をそのまま使う、という、いわば「他人の褌」によるこの企画です。ここで重要なのは、「選輯」がもう終わったのだ、ということには一言も触れていないという点です。まるで昨今の天気予報のように、「梅雨が明けました」と宣言するのではなく、「梅雨が明けたとみられます」というあいまいな言い方で、どのようにでも受け取れるようにするのと同じことなのでしょう。
NHK『現代の音楽』アーカイブシリーズ」と銘打たれたこの新シリーズには、その名の通り、NHK-FMで今でも放送が続いている「現代音楽」専門のプログラムの音源が使われています。たしかに、ある意味「現代音楽」が最も輝いていた1970年代には、この番組はまさにそんなムーブメントの牽引者のような役割を果たしていたものでした。そのために、NHKが実際に演奏会場に赴いて収録した膨大な音源は、今となってはまるで宝物のような貴重な輝きを放っているものばかりです。それを、まさに「濡れ手に粟」状態でCD化しようというのですから、これほど虫の良い話はありません。価格設定も、「選輯」は1000円台で買えたものが、こちらは税込2100円ですって。その言い訳であるかのように、「高品質CD」であることを声高に叫んでいますが、そこまで言うのならなぜSACDにしなかったのでしょうか。先日の「慈善コンサート」はちゃんとSACDになっていますし、これだってアナログ音源から一度DSDに変換しているのですからね。フルトヴェングラーだって、同じようなNHK音源のムラヴィンスキーやクリュイタンスだって、SACDで出るのが当たり前の時代だというのに。
もう一つ、「慈善コンサート」と同じように「豪華」デジパックが採用されて、見るからに高級感あふれる装丁なのですが、普通のデジパックにはCDトレイのまわりに4ヶ所の凹みがあるものが(写真左)、ここには1ヶ所しかないのですよ(写真右)。これが、実際にCDを取り出すことなど想定していないのでは、と思えるほど使いづらいのですね。凹みが1ヶ所では、片手でCDを取り出すことは出来ないという初歩的なことにも気づかなかった欠陥デザインです。見た目だけを気取って肝心の機能をおろそかにしているこのメーカーは、もはやCDを消費者に届けるという基本的な仕事すら放棄してしまっているのでしょうか。
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三善晃の「詩篇」と「レクイエム」という、エポック・メイキングな作品の初演のライブ、「レクイエム」は1972年の録音なのにモノラルだということに驚かされます。しかし、そこからは、まさに初演ならではの意気込みがまざまざと伝わってきます。それは、合唱の未熟さも含めて、今の時代では決して得られないものです。そんな「空気」を実際に体験したであろう諸石幸生さんのライナーノーツの3つ目の段落で、プロにあるまじき文章上の誤りが見受けられます。こんなイージー・ミスすら校正できなかったこのメーカーの投げやりな態度は、いったいどのように受け止めればいいのでしょうか。

CD Artwork © Naxos Japan, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2011-07-14 19:51 | 現代音楽 | Comments(0)