おやぢの部屋2
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HINDEMITH/Orchestral Works
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John Neschling/
Sao Paulo Symphony Orchestra
BIS/SACD-1730(hybrid SACD)




最近、読響の指揮者下野竜也さんが、ヒンデミットが編曲したワーグナーの「さまよえるオランダ人」序曲を、オリジナルの弦楽四重奏を弦楽合奏に直して、演奏会で取り上げていたそうですね。この形での演奏は「世界初演」なのだそうです。定期演奏会ではないものの、こんな、人をおちょくったような作品を堂々とオーケストラで演奏してしまうなんて、下野さんのお笑いのセンスはまだ健在のようでした。
そもそも、下野さんはお笑いだけではなくヒンデミットも大好きなようで、読響ともヒンデミットの作品をシリーズで演奏しています。以前、別なオーケストラを指揮している「ウェーバーの主題による交響的変容」を聴いたことがあったのですが、それは推進力のあるとても素敵な演奏でした。
今回、ヒンデミットの代表的なオーケストラ作品を集めたアルバムがリリースされました。めったにヒンデミットなどは聴きたくなることはないのですが、演奏しているのがネシュリング指揮のサン・パウロ交響楽団というので、ちょっと興味がわいたのですね。
このコンビの演奏といえば、ブラジルのレーベルBISCOITOから出ていたベートーヴェンの交響曲などを以前楽しく聴いていたものでした。そのレーベルとBISとがどういう関係にあるのかは分かりませんが、それと同じものがBISのカタログに載っていたり、今回のようにBISのプロダクションとして制作されたりしています。そのあたりの事情に通じている方は、ご一報を。
じつは、BISでの彼らの演奏は、前にベザリーのバックという形のものを聴いていました。それも今回と同じSACDだったせいでしょうか、ちょっと気取った演奏だったのが気になりましたが、今回のヒンデミットはどうなのでしょうか。
ここで演奏されているのは「画家マティス」、「気高き幻想」、「ウェーバーの主題による交響的変容」(曲順)の3曲です。ここからは、いかにもSACDらしいとても余裕のある「いい音」が聴こえてきたのは、幸せなことでした。なによりも、弦楽器がとても繊細な音色で表情豊かに演奏しているのには、ちょっと驚かされてしまいます。録音のせいなのでしょうが、ベートーヴェンの時のようなちょっと荒々しいところなどは全く見られず、ひたすら柔らかな肌触りで迫ってくるものですから、まるで全く別のオーケストラを聴いているような気になってしまいます。
木管楽器も、こんなに上手だったのか、と見なおしてしまいます。ヒンデミットではフルートが大活躍する場面が多く見られますが、どれもうっとりするような甘く、時には力強い音色で楽しませてくれます。一緒にアンサンブルしているオーボエも、まるでドイツのオーケストラのようなどっしりした音色で安定感を見せていますし。
ただ、前半の2曲では、そんな美しいところは満載なのになにかこのオケの本来の姿だと勝手に思っているノリの良さが、ほとんど感じられないのですね。なにか、小さくまとめようという受け身の態度に終始しているようなのですよ。常々感じているのですが、ヒンデミットの音楽というのは、なにか素直に入っていけないところってありませんか?テーマのメロディ・ラインが、どこか不自然で美しくないのですよね。もしかしたら、この指揮者とオーケストラも直感的にそんなところに反応していたのかも。
ところが、最後の「ウェーバー~」では、そんな「無理」が全く感じられないのですよ。終楽章の金管などはノリノリです。おそらく、この曲にはヒンデミットのオリジナルのテーマではない、もっとキャッチーなウェーバーのものが使われているのが、その原因なのでは、と、勝手に思ってしまいました。ベザリーの時もそうでしたが、このオケはほんとに好き嫌いがはっきり音に出るのでしょうね。
彼らが「オランダ人」を演奏したら、どれほどハチャメチャになるか、ちょっと怖い気がしますが、「おら、やんだ~」と言わないでぜひ聴いてみたいものです。

SACD Artwork © BIS Records AB
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by jurassic_oyaji | 2011-07-28 20:19 | オーケストラ | Comments(0)